第四部 夢路 ページ23
Aには最近よく見る夢がある。
夢にありがちの第三者の視点で、自分らしき女の子を上から見下ろしていた。
A自身のはずなのに、女の子と他人事のように称したのには理由がある。それこそ虐められていた中学生のAの姿よりずっとずっと前の背も低く、手足も短い幼稚園児とも呼ばれる姿のAだったからだ。
そんなAは小学生の高学年か、中学生くらいの男の子の後ろをついてまわり、男の子の読んでいる本を一緒に眺め、男の子の話を興味深そうに聞き、口元を両手で押さえて楽しそうに笑っている。
またこの夢か、と思った。
Aは男の子の声も名前も覚えてない。
この場所からは顔も見えない。
必死に顔を覗こうとしてもがいてももぼやけていて、会話も自分の幼い声が途切れ途切れで聞こえるだけり
子供の頃の自分が何にそんなに笑っているのか…そこでやっぱり目が覚めた。
Aは体を起こしベットの上で足を抱える。夢の余韻に瞼を閉じてみるが、やはり男性の顔ははっきり思い出されない。
Aの欲求不満から生まれたただの願望夢の可能性があるが、A自身は遠い過去、実際に起きた思い出なのだとどことなく感じていた。
だって、胸に浮かぶ愛しい気持ちと懐かしい記憶に口元が勝手に綻ぶほどだから。
過去に戻ってやり直したいなんて、Aは死んでも思わないが…。
でも、この男の人があの時もそばに居てくれていたら…少しは過去の自分は救われていたはず…と思うとなんとなくこの男の人に文句を言いたくなって穏やかな笑みは苦笑いに変化してAは抱えた膝に頭を付けた。
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わらべ(プロフ) - 和奏さん» とても返信遅くなりましたがコメントありがとうございます!夢主のこと好きって言って貰えてこれ以上ないくらい幸せです!ひとくせある子が好きなので今回の夢主も気に入っていただけると嬉しいです!また読みに来てくださいませ! (2022年1月23日 20時) (レス) id: de37784df7 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - わらべさんのお話はどれも夢主ちゃんのことが大好きになるので不思議です…更新のたび覆されてワクワクするし最高です〜!これからも応援してます。 (2021年12月31日 23時) (レス) @page44 id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - すみれさん» コメントありがとうございます!好き嫌いが極端に出そうで中々進んで行かない作品ですが、本当に書きたいものを書きたいままやっていました!そこで1人でも好きと言っていただけたので本当に嬉しいです!更新は遅めですが頑張ります! (2021年10月11日 20時) (レス) id: 34cdc8231e (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - めっちゃ好きです〜更新楽しみにしてます!! (2021年10月8日 17時) (レス) id: 84d3b4ed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらべ | 作成日時:2021年4月17日 12時