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履歴書の学歴欄。
そこには今年東大に入学したことが書かれていた。だが、QuizKnockにとってはそこまで珍しくない。河村も伊沢も東大出身であり、他にも東大の博士過程までいるもんだから。
そんなことよりも、学歴欄高校が書かれていないことに驚いた。令和の時代、色々な事情で高校にいけない人、行かない人がいるのは珍しくないと河村は思っているが、そこから大学へ。そしてその中から東大へ入学となるとどうだろう。
居るにはいるだろうが、傍から見ると異質に見えてしまうのは仕方ない。開成中学、開成高校と順当に進学してきた伊沢が率いるQuizKnockで言うと尚更かもしれない。
「…添付の記事も読ませて貰ったけど、文豪に対しての毒が効いてて面白いし…色んな経歴の子に入ってもらって新たな視点で記事書いてもらったり、…相談を書いてもらうのよくない?」
さっきも思ったことだけど、今は色々な事情の人がいる。もちろんAと同じような人も。その人達に同じ立場のAが書いた文章が刺さるかもしれない。下世話だがAAの立ち位置は会社に新しい”利益”を産んでくれそうだった。
プライベート情報を公にしてくれるかは別としてだけども。彼女は一次選考の書類選考を通り、面接を受けることになった。
その夜、河村は地元の栃木に残る母親に電話を掛けた。昔遊んでいた少女のことを聞きたくて。
「急に電話がしてくるから、なんのことかと思えば…何かあったの?」
滅多にしない電話をして母親に質問すれば当然疑問の声が戻ってきた。
「えーっと…いや…なんか、思い出して」
「…ふーん、そうなの?」
そうやって何となく言葉を濁して誤魔化したつもりでも、血のつがった母親には勝手にバレてしまっているはずだ…だけど指摘しないのが母親なりの優しさなんだろうと河村は感じる。
「あの御家族さん達、あなたが大学入ってすぐ引越しして行ってね……言いにくいんだけど…噂では…」
暗く言いずらそうなトーンで、話をし始めた母親にドクドクと大きく早い自分の心臓の音が自分の耳に入ってくるのが分かった。
「…A…ちゃんだっけ?…あの子…ビルから飛び降りた、って言われてるわよ…」
そのあと電話から聞こえる母親の声は、遠く河村の耳を通り過ぎて行くようだった。
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わらべ(プロフ) - 和奏さん» とても返信遅くなりましたがコメントありがとうございます!夢主のこと好きって言って貰えてこれ以上ないくらい幸せです!ひとくせある子が好きなので今回の夢主も気に入っていただけると嬉しいです!また読みに来てくださいませ! (2022年1月23日 20時) (レス) id: de37784df7 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - わらべさんのお話はどれも夢主ちゃんのことが大好きになるので不思議です…更新のたび覆されてワクワクするし最高です〜!これからも応援してます。 (2021年12月31日 23時) (レス) @page44 id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - すみれさん» コメントありがとうございます!好き嫌いが極端に出そうで中々進んで行かない作品ですが、本当に書きたいものを書きたいままやっていました!そこで1人でも好きと言っていただけたので本当に嬉しいです!更新は遅めですが頑張ります! (2021年10月11日 20時) (レス) id: 34cdc8231e (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - めっちゃ好きです〜更新楽しみにしてます!! (2021年10月8日 17時) (レス) id: 84d3b4ed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらべ | 作成日時:2021年4月17日 12時