moonlit (ページ14)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:13,045 hit

. ページ14

.

「や、違くて、全然違くて、だってAさんの生足なんて有料やのに…」

『…え？』

「え？」

腕を下ろした壱馬くんと目が合うと、きょとんとしている。

「いやだってそうやろ、そんな無防備で可愛い姿、俺以外の男が見たなんて最悪すぎる。」

『…大丈夫？』

「何がですか？夏じゃないだけ良かったですよ、それで腕まで見えとったらもう…」

なんだかんだと止まらない壱馬くんに眩暈がしてきて、

ああそうだ、自惚かもしれないけれど、

私はこの人に心底愛されているんだったと自覚する。

『ああ…。とりあえず気を付けてシャワー浴びて来て？』

「あ！面倒くさい顔しとる！Aさんダメですちゃんと聞いてください、あのですね、」

『分かった分かった、後で聞くから。』

「Aさん！男っていうのは、」

駄々っ子みたいに話し続ける壱馬くんの腕を引くと、

意外とすんなり立ち上がって着いて来てくれる。

お風呂場まで連れて来ても話は終わらなくて、

口数が少ないという訳ではないけれど

お喋りではない壱馬くんが、こんなに続け様に話しているのが

可愛くて、思わず笑ってしまう。

「こういう時の為に、もう部屋着は長袖長ズボンのジャージにしましょう？いや、でもAさんの選ぶやつも可愛いし、でもAさんならジャージでも…」

『話変わってきてるよ？』

「…何の話やったっけ」

少し冷めた様子だと言ってもそう簡単にアルコールが抜けている

はずもなくて、どこかぽんやりとしたままの壱馬くんは

ぱちぱちと瞬きを繰り返して私を見て首を傾げた。

『ふふ、いいから。寂しいから早く上がってきてね？』

「…5分で上がります！」

その後、本当に5分で綺麗にスキンケアまで済ませてきた

壱馬くんにびっくりしたのは、また別の話。

.