その男、オクタヴィネル寮の魂につき ページ6
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「キミ、何か失礼なことを考えていないか」
『へっ！？いや、そんなことは……』
「さしづめ、僕が次期寮長候補だなんて謳われていることが気に食わないんだろう。キミって寮長のお気に入りだし」
彼は人間のどこを見ているのか分からないが、是非ともその審美眼をどう培ったのかご教授願いたい。何から何までバレているじゃないか。Aは唇を不機嫌の形に変えた。
「本当に分かりやすい顔してるな。素直な後輩に懐かれてて、アーシェングロットが羨ましいよ」
『褒めてますか？それ』
彼から半分だけ教材を渡され、「教室まで手伝う」と言われた。とてつもない量なので手伝いがいるのは本当に助かるが、やはり先輩をこき使うのは罪悪感がある。
『私、ユーゴ先輩にも懐いてるつもりなんですけど』
「へえ、」
『何なんですか』
脚が長い彼はAに歩幅を合わすように歩いていた。自分の周りには背の高い男しかいないのでそれに合わすのに慣れていた為、こうして隣に立って歩かれるとなんだかむず痒かった。自分も、もう五センチくらいは伸びても構わないのだが。
『……早く会いたいです』
「そういえば接近禁止だったか。何があったかは知らないが、オーバーブロットといい眠り姫のキミといい一寮生たちは良い迷惑だよな」
『その節は大〜変申し訳ございませんでした』
彼にはちょっと借りを作りすぎている気がする。ラウンジで責任役を代わってもらったことも、今こうやって手伝ってもらっていることも。彼もオクタヴィネル寮の学生だし、後からとんでもない請求をされたらどうしよう。
Aがう〜むと唸っていると、ようやく教室へ戻って来れた。「ありがとうございます」と言うと、彼は自分の教室へ戻るのかと思いきやピタリと立ち止まった。
「キミさ、寮長たちに会いたいんだよね」
『はい、そうですが……？』
「教えてあげようか、会える方法」
「寮長の弱みと引き換えに」そう言った彼の顔は至って真剣だった。Aはごくりと生唾を飲んだ。規則の抜け道があるのなら今すぐにでも教えてもらいたい。しかしその為に彼に上司の情報を売るなんて、絶対に許されない。Aの意思がグラグラと揺れている。
「どーすんの、授業始まるから僕もう戻っちゃうけど。」
僕の気が変わる前に決めた方がいいよ〜と、人の教材に肘をついてニヤニヤ笑っている。なんて悪徳商人、優しさの仮面を被った手練の詐欺師。Aは頭をフル回転させて、結論を出した。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
