誰のせいで ページ36
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『うん……うん、だからユーゴ先輩は何も悪くなかったよ。詳しくは明日改めて話すから。……うん、じゃあ、ありがとね』
Aはプツンと通話を切った。あれから充電が回復して画面がついたので、Aはすぐにスマホに飛びつき監督生に連絡をした。画面を見た時不在着信もぎょっとするほど溜まってあった。半分泣いてるんじゃないかという声で「大丈夫！？」としか言えない監督生の代わりに、ほとんどエースやデュースしか喋らなかったが。
Aはスマホを切ってまたポケットへ戻した。驚く程VIPルームが静かなので、まるで一人取り残されたように感じられた。
『……えーと、その』
ちゃんと話そっか。最初に切り込んだのはやはりAである。「お茶を淹れなおしますね」とジェイドが席を立ち、アズール、フロイド、Aの三人では一向に話始めなかった。部屋の中に紅茶の良い香りが漂う。その赤い絹のような波一つない鮮やかなのが、嗅覚情報だけでもありありと目に浮かぶ。口に含んだら熱くて、強くて生き生きとした舌触りなのだ。
Aが妄想に耽っていると、横からバチンと頭をしばかれ、「イルカちゃん寝すぎ」と酷い言葉をかけられた。そんな、眠りたくて何日も寝ていたわけじゃないのに。
『誰のせいで昏睡してたと思ってるんだか……』
Aが冗談交じりにそう口に出すと、空気はより一層重みを増し、背にヒヤリと悪寒が走った。Aはすぐさまアズールの隣へ席を詰め、彼の腕を絡めとった。彼の身体を揺さぶるようにして「ねえごめんって」と平たく謝る。しかし彼らの顔色はどんよりとした土色のままだ。
『全然なんともないよ〜。もう身体だって平気だし、ご飯もモリモリ食べれてるよ？』
「……ずっと、何と言えば良いのか考えていました」
『一週間も？』
「ええ、一週間ずっと」
アズールはAと組んでいない方の手でカチャ、と音を立てて眼鏡を触った。Aは穴が空いてしまいそうなほど彼の顔を凝視した。
『まあ、ただ謝るだけで済むならアンタらそんなことしないし』
「……ええ。それに謝って済むとも思っていません」
『何故？私ちゃんと理解してるよ？』
悪意を持ってやったことじゃなくて、私が邪魔だったから排除しようとしたんでしょ。
Aの鋭い言葉に、アズールは「それは違う」とすかさず否定した。確かに今のは少し悪意のある表現だったが。Aはしらけたように視線だけ他所へやった。紅茶はまだ淹れ終わらないのか。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
