#172 追憶・忘却 ページ41
姉を突き落とす瞬間に、私の存在に気付いていたのか不敵に笑った槙島の笑みを、今でも忘れることが出来ない。
姉を突き落とし、目的を遂げたと言わんばかりに槙島は焦る素振りさえも見せずゆっくりともと来た道を歩いていった。
私は、涙を流すわけでもなく、ただその場に座り込んで呆然としていた。
その後、どうなったのかは覚えていない。
ショックの余り、錯乱してしまったのか、絶望に絶望を加えられて心が壊れる前に記憶を自分自身で消し去ってしまったのか。
今尚それは分からないが、気がつけば私はあの収容施設に入れられていた。
そしてその後神堂に出会い、執行官になる。
これが……私の槙島との因縁。
☆★☆★☆
「そんなことが……」
「納得して頂けたでしょうか？」
「……うん」
「なら私が」
「でもやっぱり駄目。家族の仇を討ちたい気持ちは分かる。けど、一夜ちゃんはまだ子供なんだよ？」
「子供だから私には危険を冒す権利が無いと！？」
「違うよ。確かに一夜ちゃんはまだ未成年の子供だけど、むしろ心はそこら辺に居る大人よりもよっぽど大人だと思う」
「だったら何が！」
「心は大人でも、身体は……脳はまだ発育途中の子供。元研究者なら分かるでしょう？メモリースクープはその人の過去の記憶を強制的に追体験させるもの。当然、脳にも、心にも、精神にも多大な負担がかかる。ましてや家族が死んだ場面をまた鮮明に呼び起こされて、一夜ちゃんはまともな精神状態でいられると『研究者』の立場として自信を持って言える？」
「それは……」
大丈夫だと、言いたい。
自信を持って言いたい。
だけど……言えない。
私は身を持ってそれを体験してしまったから。
いくらシビュラが人間の叡智を解き明かしたとは言え、人間の脳にはまだまだ未知数な要素が沢山ある。
メモリースクープが脳に直接干渉するもの。
その危険性は言うまでも無い。
私ならPHYCO-PASSが濁ることは無いが、精神面で問われたら……どうなるか私にも分からない。
だから私は、こう言うしか無かった。
「……どうしても駄目だと思ったら、私に言って下さい。槙島の顔を知っているのは常守監視官だけではありません。あなた一人が危険を全て背負い込む必要はありません。……代替品が後ろに控えていることを、忘れないで下さい」
「うん。ありがとう。でも、一夜ちゃんを代替品になんかさせないよ。それじゃ、行ってくるね」
私はまた……何も出来ないのか。
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明里香(プロフ) - 174常森監視官じゃなくて、常守監視官です。なんで、普通に常守表記出来ているのに、間違えるのですか。わざとですか？ (2022年10月20日 23時) (携帯から) (
レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 153話全てにおいて、常森じゃなくて、常守です。 (2022年10月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 152話全てにおいて、常森じゃなくて、常守です。いい加減確認してください。 (2022年10月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 142話、以上はないじゃなくて、異常はないです。でも問題ないじゃなくて、では問題ないです。 (2022年10月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 138話、常森じゃなくて、常守です。 (2022年10月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シロリス | 作成日時：2014年11月8日 23時
