【Dr.STONE】歌声に想いをのせて

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その後色々と検査を行い、特に異常がなかったため程なく退院。退院後のAは以前といくつか変わった点がある。

まず、Aの身内は両親のみで、引き取り手がいなかったAは百夜の計らいでうちに来ることになった。
もちろん、芸能界の仕事は引退。Aがテレビに出たりコンサートを開くことはもう無かった。


「Aちゃんの部屋は千空の隣でいいな」
「あー、問題ねえ」
「[私も問題ないです！]」


声が出せないので意思疎通のためにホワイトボードを用意してやった。ボード用のペンを呼び含めて3本とそのホワイトボードを肌身離さず持ち歩くようになった。


「[千空、誰か来たよ]」
「あ？なんでんなもんわかるん「せんくうー！！！Aー！！！！」…あークソうるせえ」
「A、千空くん遊びに来たよ」


事件のショックからか、Aはやたらと人の気配に敏感になった。防衛本能からだろう。
遠くからの来訪者の気配に息をすることを忘れるほどに緊張して顔を強ばらせている時もあり、そういうときは決まって無意識に俺に触れてくるようなっていた。
最初はどうしてやればいいのか分からなかったが、俺からも触れてやると緊張が解け安心したような表情に戻ることがわかった。


「[千空、お茶取りに行こう]」
「ああ」
「[千空、私お腹すいたから一緒にコンビニ行こう]」
「あー、いいぜ」
「[え、千空どこいくの！待って私も行く！]」
「トイレだ！！ついてくんな、ばか」


なんて感じで一人になることを極度に嫌がるようにもなった。どこかに行く時は基本俺を連れていくし、俺がどこかに出かけようとすると必ず着いてくる。
極力一緒にいて、不安にさせないようにしたが、流石にトイレやお風呂にまで着いてこようとした時は止めた。


「おい、A」
「[ん？なあに？]」
「お前最近いつ寝た？」
「[マイニチネテルヨ]」


なんでこいつはホワイトボードなのに片言になるんだ。

Aは一人で寝ることができなくなっていた。明らかに寝ていないのがわかる顔色の悪さと日に日に濃くなっていく隈に見るに耐えかね、ある日を境に一つのベッドで一緒に寝るようになった。
一緒にいるだけで眠りにつくことが出来る日もあれば、手を繋がないと眠れない日や、強く抱きしめてやらないと眠れない日もある。
なるべく毎日抱きしめて安心させてやることを徹底した。


頑張れ俺の理性。

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