【Dr.STONE】歌声に想いをのせて

voice.19 ページ23

「A！まだ走れるか！！」
「うおおお！こっちだー！！」


なんで、なんでこんなことになってるの？
一体全体何で私たちはライオンなんかに追いかけられるのー！

確かあれは数時間前のこと


千空から最初の一人を選ぶ権利を貰った大樹はもちろん杠の復活を望んだので、石化復活液をお一人様分を持って杠のいるクスノキの所に向かった。場所自体は聞いていたけど、私は杠が石化しているところに行くのははじめてなので少しドキドキしていた。
(知っている人の石像見るの初めてだからね)

拠点のツリーハウスから川を流れと逆方向に歩いていき、草木をかき分け少し先の拓けたところに一本の大きなクスノキがあり、そのクスノキのそばに杠はいた。


「[杠、こんな所にいたんだね。まるでこのクスノキが、杠を守ってくれてるみたいですごく綺麗]」
「そうだぞ！このクスノキは杠の恩人だ！」


杠の恩人(木？)のクスノキ、このクスノキをみると思い出すのは私たちが石化する前のこと。この木の下で大樹が杠に告白しようとしてて、それを私は千空とミルクティ飲みながら見てて…何千年も昔のことなのにいまだに手に取るように思い出せる光景に涙腺が緩む。


「その水をかければ！杠が復活するんだな！？」
「ああ、そうだぞ」


私の異変に気づいたのか私の傍に来てくれる千空の身体で今にも泣き出しそうにしているであろう自分の顔を隠す。その間も二人は話してて、一向に杠の石化がとかれる様子はなかった。
せっかくの杠復活にこんな顔を見せるのは申し訳なかったので千空に完全に隠れるようにもたれかかろうとしたが、千空が後ろに勢いよく下がってきたので失敗に終わった。
何事かと思い、顔を上げてみると千空が大樹に目潰しされてた。
(うわあ、完全にささってるじゃん…)


「ダメだこのまま復活させてはー！」


大樹は杠が裸なのを気にしているらしい。千空は
非合理的なこというなっていってるけどさ、自分の好きな子の裸を他の人に見られたくないってことだよね、仕方ないよね。
二人の言い争いを見ていると凄く凄く嫌な気配が近づいてきているのに気づき、思わず千空の服を掴んだ。


「あ？Aなん…！！デカブツ！」
「…！？」


草の間から飛び出してきたのはライオンだった。
そして、冒頭に戻る。
途中で大樹が囮になって私たちを逃がそうとしたが、そんな事私も千空も許さなかった。

そして、今は大樹に導かれ、とある所にむかって走っているのだった。

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