【Dr.STONE】歌声に想いをのせて

voice.16 ページ20

(いたたたた、頭痛い)


目を覚ますともう外は明るくて、千空と大樹はすでに作業に取り掛かっているのかツリーハウスの外から声が聞こえる。
私も手伝いに行かなくてはいけないのだが、頭の痛さと身体のダルさになかなか立ち上がることが出来ない。
(なんか、体調悪い…？)


「ククク、歌姫様は今頃お目覚めか」


いつの間にかツリーハウスに登ってきていた千空が入口の前に立っていた。いつもならすぐ反応出来るに今日はなかなか思うように動かない。
手を伸ばせば届く距離にホワイトボードが見えるのでなんとか手に取り意思疎通をはかる。


「[おはようございます]」
「元気ねえじゃねえか、どうした？」
「[あたまいたい、からだだるい]」
「あー、そりゃ100億％二日酔いだ」


ふつかよい…。あーー、そういえば昨日ワイン飲んだっけ。でも私最初にワイン少し舐めたあと、コップに入ったワイン飲み干して、そっから大樹がついでくれて、それも飲んで…あれ、その後は？？


「[ねえ、わたし、けっこうのんでた？]」
「…覚えてねえのか」
「[ぜんぜんまったくこれっぽっちも]」


千空は顔を俯きはあー、と1回ため息をついた。ん？なんでため息？私なにかした？？それとも面倒くさくって全部ひらがなで書いてたから、読みにくかったのかな？

「[なんでため息？]」
「…いや、なんでもねえ。とりあえず今日は動けねえだろ、そのまま寝とけ」
「[え、でもそんなの悪いよ]」
「あー、飲ませ過ぎたデカブツにも非はある」


Aの分はデカブツにやらせるなんて千空は言ってくれる。確かに二日酔い、凄くしんどい。でも、二人に任せっきりになるのは嫌だなあといやいや、それでもやっぱりと食い下がろうとするとそれにっと千空に遮られた。


「今日はいつもの作業はやらねえ。今日はワインを蒸留してブランデーつくる。だから別に心配とかじゃなくて体調悪いなら寝てる方が合理的つうか…」


そんな事じゃ私が引き下がらないことを知っているので、うーんと頭を捻る千空。てか、ワインにブランデーにって一体どこを目指しているんだろうか？
まあ、全部合理的に考え行っていることなのだろうけど。


「まあ、とりあえずだ。寝るまでそばに居てやるからさっさと寝ろ」


千空は近くによってきて私の頭に手を置く。さんざん考えて出した答えがこれなんだなと思うと笑みが溢れた。

(うん、千空の手あったかいし、このまま休んでやるとするか)

千空の体温を感じながら意識を手放した。

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