私と影の日記帳

シロの歌声　　クロ視点 ページ7

・・・さっき、白音が俺にもたれかかってた。

理解できない状態に頭は混乱してたものの、たぶんいつも通り接していた・・・はずだ。

「黒音？大丈夫？」

「え？」

考え事をしてたから、思わず不抜けた声が出た。

「・・・大丈夫だ。それで、カラオケはどこにあるんだ？」

すると白音はため息をついてから言った。

「あとちょっとだよ。」

「さっきのため息は何なんだ？」

「意味はないよー。」

人前での白音と俺の前での白音は全然違うなぁ・・・

「何考えてるの？」

「なんでもいいだろ。」

「あっそ。」

他愛もない話をしながら歩いていくと、カラオケが見えてきた。

「あそこか？」

「そうだよ！」

意外と大きなところで、個室も５０部屋ぐらいあった。

「しかもね！」

弾んだ声で白音は言う。

「ここのカラオケ設備、いっつも最新なの！だから採点の性能もいいし、音もいいんだよ！」

「そ、そうなのか。」

珍しく白音の声が弾んでいたので、少し驚いた。

「二名様ですね。かしこまりました。６番の部屋にどうぞ。」

定員さんにカギをもらって、６番の部屋を探し、カギをあけた。

部屋の中は水色の壁紙で覆われていて、とても広々としている。

「黒音？何か歌いたい曲ある？」

いつもは見せないような笑顔で白音はきいてきた。

「い、いや、俺は別に・・・ない。」

「ふーん。でも、一曲は歌ってもらうからね♪」

「え・・・」

俺は歌が下手なわけではない。というか、歌ったことがないんだ。

「何歌おっかなー！・・・よし、きーめたっ！」

その曲は少し古いアニメの主題歌らしい。とってもリズムが良くてかっこいい曲だ。

・・・白音の声もいい。高音のきれいな声に、かっこいい声も混ざっている。

うまくは言えないが、白音の声は好きだな。

そのあとも６曲続けて歌った白音は、息を切らしてソファに座る。

「次は・・・黒音の番だよ。何歌う？」

「下手でも笑うなよ。」

おずおずと曲を選択し、その曲が流れる。

「・・・！」

白音は驚いた顔になる。それは予想済みだった。

できるだけ自分の声で歌って、気持ちを込めて歌った。

「・・・」

そして、曲が終わる。

「ふぅ・・・」

「ねえ、なんでこの曲知ってるの・・・？これって・・・」

「１年生のとき始めて泣いた曲・・・だろ。」

白音は泣きながらうつむく。

「・・・もう帰ろっか。」

「・・・うん。」

・・・白音の過去は、酷いものだったからな。

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