ゆく年くる年、みかんのすじ（納棺師） ページ18
「僕、このなんとも言えない期間が少し嫌いなんです」
ミカンの筋を丁寧に取りながら彼は言った。
「クリスマスで騒いだ後は年を迎えるために掃除をし、特別な料理を作り…そして年が明け三が日を過ぎたら……なんか忙しいのか楽しいのか分からなくて」
話しながらも筋を手で取るのに飽きてピンセットを出してきた。こたつに潜ると小さな虫眼鏡で見つめながら筋取りを再開している。
「というか貴方の国ってとても混沌としてますよね、キリスト教のお祭りをした後に自国の祀るものに行き新年を祝うし……何なんですかねもう…。国の宗教がないってとても面倒というか自由というか……」
彼がぶつぶつ話しているうちにミカンの筋は取り除かれ白かったミカンは綺麗な橙色1色になっていた。私はそんな彼のミカンを見つめながら筋の入ったミカンをひと房口に放り込んだ。
「でも、貴方と過ごすなら…この国も、この時期も、嫌いじゃないです」
ミカンから視線を上げるとほんのり赤く顔を染めたイソップがこちらを見つめていた。いつもと変わらない無表情だがちょっとだけ柔らかい顔つきだった。
「…A、今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
除夜の鐘を待ちつつ、私たちはミカンを頬張る。彼の前には綺麗に剥かれたミカンの皮と丁寧に取り除かれた筋がおかれていた。
Once upon a time…（占い師）→←こたつとアイス（傭兵、リッパー）
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薄荷ゼリー(プロフ) - 通りすがりさん» コメントありがとうございます、更新率は低下してますが今後もご愛読頂ければ思いますm(*_ _)m (2021年12月28日 12時) (
レス) id: a93fc2bc72 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - ドキドキする話やクスッとくる話、色々あって読んでてとても楽しいです！（≧∇≦）応援してます⸝⋆* (2021年11月20日 15時) (レス) @page11 id: 2f87ec2489 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薄荷ゼリー | 作成日時：2021年6月14日 20時
