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その後は子供たちに交じって、コーヒーカップやメリーゴーランドを楽しんだ。
一般的な高校生がチョイスするものではないとは思うけれど、私からしたら何もかもが目新しいものだったから、そんなことは関係なかった。
光陰矢の如しとは、昔の人は上手く言ったものだと思う。
本当に矢が一直線に空を切るように、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。
気づけば空は、きれいなオレンジ色に染まっていた。
「帰る時間考えたら、次で最後ぐらいかな」
「うん。私が最後に乗りたいのあるんだけど、いい？」
「いいよ。どれ？」
佐倉くんが渡してくれたパンフレットを広げて、一番大きく書かれているそれを、指さした。
「これ」
「OK。行こう」
園内のはずれにあったのは、カラフルな観覧車。
ジェットコースターの時は街を見下ろす余裕なんて到底なかったけれど、観覧車からならゆっくりと景色を堪能できるだろう。
ちょうど回ってきたピンクの観覧車に、向かい合わせで乗り込んだ。
窓ガラスに張りつくようにして、外を見た。
飲み込まれてしまいそうなほど大きい夕陽と、眼下に広がる街。
空はオレンジ色だけではなく、ピンクや黄色も混じって、オーロラみたいに美しいグラデーションを構成していた。
「きれいだね」
「うん」
「夜に来たら、夜景見られるのかな」
煌めくビルの明かりを想像しながら、私が言った。
「ここの観覧車、夜になったらライトアップされるんだって」
「すご！夜にも来てみたいな」
「大人になったらだな」
「約束ね」
「うん」
「約束ね」だなんて言ってしまったのが恥ずかしくて、顔から火が出そうだった。
手のひらをほっぺに当てるとその熱さにびっくりして、「熱っ！」と言ってしまった。
佐倉くんに「何？」と聞かれて、穴があったら入りたい気持ちになった。
当然狭い観覧車の中でそんなことはできなくて、「ううん、何でもない」と答えるのが精一杯だった。
それからは、学校帰りと同じような感じで解散した。
いきおいよくマンションの階段を駆け上がって、ドアを開けた。
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