作品失格 (ページ3)

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吾輩は猫をやめてしまったようだページ3

「…気にするな」

「前の間はなんだよ」

「それに、お前も同じような面をつけてるだろう」

「なに言って…ってなんだこれ⁉︎」

どうやら小僧は面をつけてることに気づいてなかったようだ。

「と、とれない‼︎なんだよこの面」

手を面の上に乗っけて騒いでる小僧の姿は実に滑稽で笑えてくる

「だがそれは芝居か？」

「！」

「確かにそこらで分かりやすい芝居をやっている人間を見ているよりお前の芝居を見ていた方が面白い。小僧、名前は？」

「大葉葉蔵…だけど…。アンタは？って名前ないんだっけ…」

「あぁ吾輩はこれからも名前がつくことはない」

吾輩がここにいる間…嫌、いなくてもかもしれぬ

吾輩に名前なんて夢のまた夢だ

葉蔵「取り敢えず猫って呼ぶか」

猫「単純だな」

葉蔵「良いだろう」

たしかにそれぐらい単純な方がいい

…今見るとやはりコイツとは会ったことなど一度もない

吾輩の本は吾輩が知らぬ間に冒頭に戻ってしまう

最初は気にせず過ごしたが、同じ日々を過ごすと苦になってしまう

吾輩は、もう飽きて違う行動をした、家を飛び出したり拾われないようにしたり…。死んだりしたこともあったな

だが結局はいつも戻る。

会ったことある人間は全員同じ人

それ以外の人間は忘れた、と言うより、顔がぼやけてしまいなんなのかが分からない

だがこいつは違う。しっかり顔も見えるし特殊な設定までもがつけられてる

吾輩は此奴は吾輩と別の本のものなのだろう。そう思う

そう考えると一つ疑問が浮かんだ

この本の題名はなんだ？

猫「小僧。お前は本の題名は分かるか？」

葉蔵「そういえば知らないな。考えたこともなかった。なんで急に？」

猫「吾輩もだ。だが今気づいた。ここの本の題名はなんなのかと」

葉蔵「…それより自分を元の世界に返せないのか？」

「吾輩にそんな特殊な力なんてものはない。あってもこの世界が本だと気づいてることぐらいだろう」

小僧が来たのはたまたまか、それとも吾輩と何か関係があるのか。はたまたそのどちらでもないか

猫「小僧、何処から貰った？」

葉蔵「え…。確か、知らぬ人から貰っていた」

猫「お前もか。吾輩も知らぬ人間が落としていった面を拾ってから、吾輩は可笑しくなった。目は青く染まり、可笑しな模様が出てきた」

葉蔵「おや、それは自分も同じだ。面を貰ってから黒かった目は赤く染まり、今の目になった」

あぁ、吾輩とこの小僧には多くの関係あるようだ