期待の新人声優、劇団でアルバイト始めました。

5.サボり少年と童顔先輩 ページ7

5.サボり後輩と童顔先輩/Banri



初めてAさんを見た時、目が惹かれた気がした。それとどことなくて既視感を感じた。

奇抜な格好をしてるわけじゃない。でもなんでか惹かれた。

まさか年下に惹かれるとは思わなかった、彼女もサボりだろうか、高校が休みか、高校に通っていないのだろうか、なんて考えた。



「って、ストーカーされてんじゃん」



切羽詰まった顔して早歩きする彼女を疑問に思えば、彼女の後ろにはストーカーらしきオッさんがいて納得した。



「ったく…」



柄にもなく、俺は彼女のもとへ走った。
白く細い腕を引いた時、遠目から見てたよりも繊細で、折れてしまわないかと焦った。

らしくねぇ…なんて思いながらも、今は彼女を助ける事を優先に考えた。



…




なんやかんやあって、ストーカーは撃退した(気絶させた)し、彼女とも打ち解けたように思う。



彼女の名前は嘉島Aというらしい。
Aさんはなかなか変わってる面白い人だ。

助けた後、まさか生の殴り合いが見てみたかったと言われるとは思わなかった。
つか、助けたとはいえ多少怖がられると思ってた分、拍子抜けした。



「(しかも彼女って言ったことに関してはノータッチ)」




一番驚いたのは年齢だ。


助けたついでに駅前まで案内してる時にお互い軽く自己紹介をした。

低めの身長に幼い顔立ち。ぜってぇ年下とか思っていれば高校卒業済み。
今まで年下だと思ってタメだったことも怒るどころか予想してたと笑った。

話せば話すほど、この人の不思議な雰囲気に、優しい声に、どこか既視感が強くなる。



「(どこで会ったんだ…？)」



答えはすぐそこにあるとは、この時の俺は思いもよらなかった。

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