REBORN † 桃を啄む鶫。次世代に咲く花 -4- (ページ11)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:13,656 hit

鬼ごっこ[5] -獄寺鶫- ページ11

「……」

顔を真っ赤にする持田。

彼女を目の前にして、俺は頭に血が昇っていた。

桃は、どういうつもりで俺を呼んだんだろうか。

告白には答えず、俺は持田に尋ねる。

「………桃になんて言って、頼んだんだよ」

「えっ？普通に『告白したいから、獄寺さん呼んでください』って」

…………分かってたな。

くそ。俺と持田が付き合えばいいと思ってんのかよ。

だから、あんなこと聞いたんだろうな。

ちくしょう、ちくしょう。俺は、そのくらいの存在。

溜め息をついて、視線を泳がした。

.

「…………ぁ」

小さく、声を漏らした。

俺の視界に、薄い栗色の猫毛が。

ハーフっぽい髪が、教室のドアを覗いていた。

大分低い位置だ。座ってんのか。

隠れてるつもりだろうけど、見えてしまっている。

桃……。

俺は、持田と向き合う。

もちろん、視界の隅に桃を映しながら。

「持田ぁ。俺、お前みたいな可愛い女にコクられてかなりうれしーわ」

ピクリ。栗色の髪が揺れる。

「でもさ………好きな女がいるんだ」

「…え……？」

持田が顔色を曇らす。わりぃな。俺はお前に興味ない。

俺が興味あるのは、

「雲雀桃。俺は、アイツだけを愛してる」

桃だけなんだ。

すると、栗色の髪が、ふわりと浮かんでパタパタと走り去った。

俺は、慌てて、追おうとした。が、持田を置いていってもいいのだろうか。

持田を振り替えると、彼女は泣いて……いなかった。

ニンマリと笑って、俺を見つめる。

「持田……？」

「あははっ。早く追いなよ！」

ガタガタと音がして、教卓下から数人の男女が。
ニヤニヤしながら、俺を見つめてる。

やんちゃばっかしてる奴等だ。持田もその一人。

…………くそ。はめられた。

でも、いやな気持ちにはならなかった。

「絶対、風紀委員長捕まえてオとしなさいよ！」

「あぁ！！」

サンキュー、持田。

俺は、教室を飛び出した。