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『お見事です中尉、曹長』
ハワード准尉からの通信が入り、私はバイザーを上げて長く息を吐いた。
『逃げられたよ』
「こちらも逃げられました」
『カスタムフラッグ、一応対抗して見せたが...しかし水中行動すら可能とは、汎用性が高すぎるぞ、ガンダム』
此方の技術ではまだできない技術に、思わず唸る。
輸送機に戻り、中尉の指示でレストボックスに立ち寄る。
一足先についていたグラハムはお疲れ様の声と共にドリンクを差し出した。
お礼を述べ紙コップを受け取る。
「このガンダム、曹長はどう見る？」
早くも先ほどの戦闘映像記録を取り出し、繰り返し再生されていた。
「白い方は前回とあまり装備は変わってません。一方黒いガンダムですが...」
コントロールパネルを操作し、映像を何度か止めてスクリーンショットを数枚とる。
「スナイパーライフルに、連射可能なアサルトライフルが手と背面に計2丁...盾に隠れてビームサーベルと思われるものも確認できます。...火力については不明ですが、戦い方及びポジション的にはオールラウンダー、かと」
他の4機のガンダムは何かしら特化しているように見え、機動力と火力の加減でペアを組んでいるように見える。
が、この黒いガンダムはどちらにでもつけるような装備をしていた。
「何かに特別特化しているわけでもないガンダム、か」
どう対処すべきか、と思考を巡らせながらコップの中身を飲み干し空っぽにする。
基本的には一対一では敵わない、複数対一が理想だ、そして他のガンダムがいないことも条件になり...
「色々と考えざるおえないですね」
これでもか、とやり方が思い浮かびグラハムも飽きないのか嬉しそうな笑みを零していた。
ただ、何か違和感があり思わず何かありますか？と聞けばウインクを飛ばしてきた。
「乗る前は不安を見せていたが、乗ってしまえばどうってことはなさそうだな曹長」
その言葉に顔に熱が集中するのが分かり、言葉を詰まらせ唸る。
「言っただろう？フラッグファイターにふさわしいパイロットである、と」
自信満々にいうもんだから思わず恥ずかしくなる。
「胸を張れよ、フラッグファイター」
その言葉がどれだけ嬉しく、重みのある言葉か。
「...はいっ」
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作者名：椎名魏 | 作成日時：2019年12月4日 21時
