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「前にも似たような事を言った気がするが、君は少し周りを頼りなさい」
大事になったらどうする、と嘆息を交えてそういうと隣からは言葉が詰まる気配がした。
彼女の1人でどうにかしてしまう癖は一向に治る気配がない、いや最初に比べては大分少なくなっている気がするがそれは仕事においての話だろう。
「(せめてプライベートにも置いて相談するような人物がいれば、な)」
そういえば、と思い少し考える。
多少なり軍といえど友好関係はある筈、がハティに限っては誰かと話しているイメージがあまり無く強いていえば医師であるグレイという青年しか思いつかない。
「...ハティ、君は普段休日は何をして過ごしているんだい？」
「休日、ですか？そうですね...主に勉強、ですね」
あとは家事こなしたり掃除したり買い物とか...
「ご友人と出かけたりとかは？」
「ないです」
既に縁があまりないですし、同期はバラバラですし。
あまりの即答さに思わず言葉を失いかける。
「あぁ、でも予定が合えばグレイと一緒に飲みに行ったりはしてますよ。その時にグレイのご友人も一緒に来たりとか」
そこで彼女ははたり、と何かに気が付く。
「...私もしかしてグレイとしか出かけてない？」
彼女の言葉に思わず同意してしまう。
「まぁこうして私と出かけれているから良いのでは？」
そうですね、と聞こえたと同時に周りから歓喜の声が覆いかぶさり、思わず正面の水槽を見た。
魚たちの餌の時間なのか、魚は一心不乱に餌にめがけて突進していく。
餌が無くなってきたころには人だかりもなくなっていき、雰囲気も落ち着いてきたころ合いだった。
次の水槽を見に行こうか、と声をかけ腰を持ち上げた。
「......あぁ、そうだ折角先ほど受付で頂いたものを使おうではないか」
「受付...あのペアブレスレットですか？」
何故、という疑問の表情を浮かべているハティに思わず私は先ほどの出来事を忘れたのか、と何度目かのため息を付けた。
「こうも薄暗ければ君を見失う可能性がある、先ほどのストーカーも二度無いとは言えないだろう？」
付けておくだけなら問題ないだろう？そう提案すれば彼女は同意し、ブレスレットを取り出し手首に通した。
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作者名：椎名魏 | 作成日時：2019年12月4日 21時
