子猫と膝枕2 ページ2
見慣れぬのは子猫も同じだったようで、突然のミニブタの登場に驚愕した子猫はAの腕の中で飛び跳ね、逃げようとしたその時。
子猫が飛び跳ねたことに驚愕したAのバランスが崩れ、後ろに倒れそうになる。
Aの腕から逃げた猫は慌てたショッピが受け止め、トントンが目を見開いてAに手を伸ばしたその瞬間、Aは後ろから覚えるのある温もりに抱き留められていた。
「ふーん、おいしいぜ」
口角を上げてAを覗き込む若草色の瞳に、Aは目を瞬かせてからふっと目元を緩めた。
「ありがとうございます、ゾムさん」
「おん。で、結局その子猫どうするん？」
さり気なく支えていたAの腰からお腹まで腕を回して後ろから抱きしめるように固定し、Aの肩に顎を乗せたゾムはトントンに問いかけた。
いつの間にかAのそばにいたゾムに、トントンも目を瞬かせたがすぐにAの無事を小さく安堵してから今度はショッピの腕の中にいる子猫を見遣る。
「うーん、トンに驚いてもうたからな…俺んとこは難しいんちゃうか」
少しは見慣れたのか、それでも耳を立てて警戒からトンをじっと見る子猫にトントンは眉を顰めた。
「あの、それなら私のところで預かりましょうか？短い期間でしたら、皆さんより時間が取れると思いますし」
「けどAさんにそれを頼むのもなぁ…」
「まだ子猫ですし、多分そこまで大きく動けないので手はかからないと思います。その間に引き取り手を見つけてもらえれば」
「そんなら先に“園”に聞いてみるとか？」
「ああ、ゾムそれええな。ちょっと聞いてみるか」
思い立ったが吉日、早速トントンが“蝶の園”に連絡を取れば丁度前に飼っていた猫が引き取られたばかりなので受け入れが可能とのことだった。
そのため、一旦今日だけは子猫はAの部屋で預かることとなり、ショッピから子猫を受け取ったAはゾムと一緒にAの部屋まで戻ってきていた。
子猫をベッドに降ろせば、たどたどしい足取りで歩き回り結局ベッドの縁に座るAの膝まで戻ってきた。
「大丈夫そうかな」
一生懸命Aの膝の上に登り、丸まって落ち着く子猫に頬が緩むAを見てAの隣に座っていたゾムも目を細めた。
「ええな」
「はい、可愛いです」
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2021年4月14日 3時
