無能流子育て。 ページ7
【しゃおさいど】
「あー、くそだ」
やってられないとため息を吐く。今年の訓練兵は実りが悪く、体力もない。おまけに頭も悪い。何度も同じことを言っているのに学習もしない。
「やってられんわ、俺いつもの行ってくる」
後ろから自分を呼ぶ声が聞こえる。謝る声、悪態をつく声、つかの間の休憩を喜ぶ声。こんなんだからこいつらは成長できないんだ。
ボロボロになった豚のピンをさわる。もうそろそろ買い換えなければ、けれど自分で買うのもなぁと思う。悶々とする心境の中、病室へと足を踏み入れた。窓際には花瓶、少し開いた窓からは優しい風が吹き込む。
「なぁ、このピンどこで売ってるん？」
「早う目ぇ覚ませや、いくらなんでも尖りすぎやで」
「お前、みんなに愛されてるんやから」
口から出る旋律はまるで自分のものとは思えないくらい優しい音を奏でる。早く目を覚ましてまた一緒にゲームをしたい。きっと俺の一人勝ちや。
そんなこと思っているとそこにロボロとエーミールが来た。
「シャオロンもここにいたんやな」
「今年の訓練兵は出来が悪いからなぁ、イライラしてまうんよ」
「シャオロンさんはイライラしたらいつもここに行きますもんね」
エーミールが笑う横でロボロが「スパルタスクがなぁ謝ってたんよ」と続ける。どうやら訓練兵のリーダーが謝罪を伝えたいらしい。謝るくらいなら最初からしっかりやっていれば良かったのに。まぁ彼はしっかりやっていたが……。
「しゃあないな、じゃあそろそろあいつら扱いてやるか！」
エーミールとロボロに笑顔を見せて大先生に「お前早く起きろよな！」といい二の腕あたりをバシッと叩いた。
するとどこからともなく「う゛っ……」と声がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 776人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メラン(プロフ) - 初コメ失礼します。前作からぶっ通しで見ましたが、番外編では最初っから泣きました。文才も凄いです。これからも頑張ってください。 (2019年3月30日 8時) (
レス) id: f8ce7a4341 (このIDを非表示/違反報告)
放射性アイソトープ(プロフ) - 重さん» 返信、大変遅くなってしまい申し訳ございませんでした……! 人気作者の重様にそのように言われて私も嬉しい限りです! ゆっくり更新ですが、気を長くして待っていてくださいね(*´ω｀*) (2019年2月6日 16時) (レス) id: c62dc48e07 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 放射性アイトソープ様、こんにちは。前作で続編希望のコメントを書かせて頂きました…続編が出ていて本当に嬉しいです！今後も素敵な作品が見られるのだと思うと毎日が楽しみです。更新も頑張ってください！ (2019年1月12日 13時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：放射性アイソトープ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月5日 20時
