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私が初めてあのお店をふと見つけて、
___そのノブに手をかけてから半年がたつ。
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…あの時はなんていうか、
何の変哲もない私の人生に少し色がついたような、そんな気がした。
私が何を読もうと、何を頼もうと。
何も話しかけて来ずにそっと美味しいコーヒーを出してくれた。
…そんなマスターと1度だけ、身の上話をしたことがある。
いつもの様に本を読み終え、冷めてしまったコーヒーを飲み干そうかと手をかけた時。
マスターが突然、新しいのを持ってきて、
「少しお話聴いて貰えますか?」と微笑んだからだ。
聞くだけでいいと念を押され、
美味しそうなコーヒーにつられて聞くことにした。
たしかあれは、お孫さんの話だった。
そう、たしか名前は______…、
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『で、こう書いて、しょう! 紫耀です!』
「は、はあ……。」
……結局、今日もマスターは居なかった。
代わりに、昨日と変わらない笑みで迎えてくれた王子様のようなオーラを纏った__紫耀、さん。
「今度こそ覚えて帰ってくださいね〜」と、
季節限定の時にかけるメニューボードの小さい黒板に字をわざわざ書いて見せてくれた。
・・・かなり、遠めから。
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紫耀「にしても、カウンターから出るなって変なお客さんですね。
ゾウさんにもそうなんですか?」
「…? ぞうさん?」
紫耀「あっ、祖父のあだ名です。ここの店長の。」
「あ、あー…。そうなんですね。」
……なんでゾウさんなんですか?という疑問は置いといて。
先程からカウンターからめいっぱい体を出して、
声を張って話しかけてくれる紫耀さんの距離はかなり遠い。
__何せ、ここに入って来た瞬間。
駆け寄ってくる勢いで奥からドタドタ走って来る彼に、咄嗟に「そこから出ないでください!」と声を出してしまった。
向こうからすれば変な客だと思うけど、
ピタッ!と止まった彼も彼で変だと思う。
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あき。 - 新作公開、おめでとうございます。おかえりなさい!が合ってますか?笑 平野のイメージぴったりでやっぱり雪乃さんの描くお話は大好きです。引き続き雪乃さんのペースで更新がんばってくださいませ。 (2019年4月1日 18時) (レス) id: 1e1b84a358 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪乃 | 作成日時:2019年4月1日 3時