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38.運命だ！ -side.A- ページ4
「…ごめんね」
肩に手を置いて、ゆっくり体を離す。
マキちゃんはぽろぽろ泣いていた。
「どうしても無理、ですか？」
「…ごめん」
マキちゃんはぐすっと鼻をすすると、はあっと息をついた。
「店長優しいから、そこにつけこもうと思ったのに」
「え？つけこむ？」
「…こんなはっきりクビって言われるなんて意外でした」
「俺も必死なんだよね」
「え？」
「なくしたくないんだ」
「……」
「好きだから」
好きだから優しくしたい。
好きだから誠実でいたい。
好きだからなくしたくない。
ただ、それだけのこと。
「店長の彼女は…幸せですね」
「そうでもないよ。俺鈍感だし。
女心わかんないし」
「それはそうかも」
「やっぱそーなんだ…」
俺が肩を落とすと。
マキちゃんがくすり、と笑う。
「ここで働けるって決まった時は、運命だ！って思ったのに…うまくいかないもんですね」
ごめんね。
俺も、実は思ってるんだ。
Aちゃんが俺の店の第一号のお客さんだってこと。
運命だ！って、ね。
「でも…フラれて一つだけいいことありました」
「いいこと？」
「今お芝居で、好きな人にフラれる役やってて。
店長のおかげでいい演技、できそう」
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作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年12月16日 18時
