50.あと2日 -side.A- ページ16
あれから、Aちゃんとは連絡を取っていなかった。
「バーカ。何やってんのよ」
ことの顛末を聞いたニノの第一声。
「バカじゃないよ」
「バカだよ。今回はほんとに、Aはもうダメだって思ってるんじゃない？」
「…かもね」
ニノが煙草に火をつけながら、あきれたように言った。
「Aが何の理由もなく男の部屋にホイホイ上がるような女じゃないことくらい、わかってんでしょ？」
「わかってるよ」
「じゃあなんで。そんな試すような言い方したわけ？」
「表面だけ仲直りしても、また同じこと繰り返すと思ったの」
「同じこと？」
「根本的な問題が解決しなきゃ。壁は壊れない」
「……」
「付き合ってるのに。
一番近くにいるのに。
言いたいことも言えないのなんて変だよ。
そんなんじゃだめになる」
ニノが、ふうっと煙草の煙を吐く。
「そっか。相葉さんもいろいろ考えてんだ」
「考えるよ」
だってだめにしたくない。
「でもちょっと荒療治すぎない？」
「そうかもしれないけど。俺だって」
「俺だって？」
ニノの質問には答えず、俺は勢いよく水道をひねって皿を洗い始めた。
「ニノこそ。なんか悩んでたのはどうなったの？」
「悩んでた？」
「最近よく考えごとしてたじゃん」
「…相葉さんて、たまーに鋭いよね」
「たまーにじゃないし！」
「たまーにだよ。4年に1回くらい」
「オリンピック並じゃん…」
ニノが、くくっておかしそうに笑う。
「24日パーティすんの？」
「するよ」
「A、来ないんじゃない？」
「まだわかんないよ」
「あと2日しかないよ」
「まだ2日あるよ」
24日まであと2日。
今日も扉は開かない。
でも俺は待ってるよ。
いつでもここにいる、よ。
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作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年12月16日 18時
