46.正直に答えて ページ12
雅紀くんとは会えなくても、ほとんど毎日ラインか電話はしていたけど。
あの雨の日の夜。
「24日みんなでプレゼント交換でもするー？」
届いていたラインに、次の日の朝気づいてとまどった。
マキちゃんを抱きしめていたことに何か理由があるにしても。
なんでこんなに普通なんだろう。
いい意味で？それとも悪い意味で？
逃げていたって何も始まらないことは分かってるけど、聞くのがこわい。
結局仕事帰りに「Siesta」には行かず、家に帰って来た。
明日も忙しいから、早くシャワー浴びて寝なきゃ、と思うのに。
体が動かなくて、特に見たくもないテレビを見るともなしに眺めていた。
ピンポーン。
インターフォンが鳴って、肩がびくり、と揺れる。
モニターにはマフラーにあごを埋めた雅紀くんが写っていた。
驚いたけど、とりあえず中に入ってもらう。
「ごめんね、夜遅くに」
「ううん…」
何の連絡もなく急に来るなんて、初めてだ。
マキちゃんのこと、話しに来たの？
「お茶、入れるね」
キッチンに向かおうとしたら、遮られた。
「後でいいから、ここ座って？」
言われた通り、向かい合って座る。
「Aちゃん。正直に答えてね」
「…うん」
「俺、何かした？」
「何かって…」
「Aちゃんを。
困らせるようなこと、悲しませるようなこと。…泣かせるようなこと」
思わず黙り込む。
「…じゃあもう一つ。
村上さんと、二人で会ってるの？」
思いも寄らない言葉に面食らう。
二人で？
昨日は会ったけど、あれは偶然だし。
「…会ってないよ」
一瞬、雅紀くんの黒目がちの目が悲しそうにくもった気がした。
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作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年12月16日 18時
