32.車の中で ページ32
「…Aちゃん、今日何時に終わんの？」
雅紀くんが帰りぎわに、私に尋ねた。
「うーん、21時くらいかな」
「俺適当に時間つぶしてるから、一緒に帰ろうよ」
「でも待たせるの悪いな、寒いし」
「だいじょぶ、今日車で来てるから。
終わったら連絡して」
そう言って、じゃあね、って笑うと店を出て行った。
受付のチカちゃんが、雅紀くんの小さくなっていく後ろ姿を見ながら、はあっと溜め息。
「相変わらずかっこいい彼氏さんですね」
そこに村上さんが乱入。
「ちゃうちゃう、チカちゃん。
こいつの場合、それが問題やねん」
「え？かっこいいのが？」
「別に問題じゃないですよ」
村上さんが、横目でちらっと私を見た。
「あー…彼氏なんか言うとった？」
「なんか？一緒に帰ろうって言われましたけど」
「あ、そう。そしたら今日はテキパキ片づけてさっさと帰ろうや」
「言われなくてもそうします」
雅紀くん、車で来てるって言ってたな。
考えてみればいつも、「Siesta」かお互いの家でしか会ってなくて。
外で会うのって、なんだか新鮮。
そう思うと早く会いたくなって。
村上さんが言うみたいに、片づけもテキパキ進んで予想より早く仕事が終わった。
店を出ながら電話をする。
「終わったよ、どこにいるの？」
「後ろ後ろ」
そう言われて振り返ると、黒い四駆が止まってた。
小走りに近づいて、乗り込む。
「お疲れさまー」
「うん、雅紀くん今日は来てくれてありがとう」
「こちらこそ、かっこよくしてくれてありがとね」
もともとかっこいいんだけど、ね。
さりげなく運転している雅紀くんを見つめる。
「ん？なんかついてる？」
慌てて首を振る。
「ね、花さんがコンテスト1位のお祝いと雅紀くんの誕生日兼ねて、パーティしたいね！」
「パーティ？」
「クリスマスパーティ」
「いいね、楽しそう。24日の夜、貸し切りにしよっか」
「そうだね！あ、でも花さん24日は無理じゃない？仕事忙しいでしょ？」
「花ちゃんね、1位になったら『Sunny』辞めて自分の店出すって決めてたんだって」
「そうなんだ」
「うん、だから今は『Sunny』の引継ぎしながら、開店準備してるって言ってた。
大丈夫だと思うけど、聞いてみとくね」
「うん。あ！翔くんとアキも呼ぼうか。もうすぐドイツ行っちゃうし」
「そうしよう！翔ちゃん先輩俺も会いたい」
なんだか楽しみになってきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 992人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年11月27日 20時
