12.考えすぎない -side.A- ページ12
「バイト応募来たの？」
ランチタイムの慌ただしさが落ち着いた14時くらいに、ランチを食べに来たニノが言う。
「うん、何人か」
「へえ。良さそうな人いた？」
「これから面接だからまだわかんない」
「オトコ？オンナ？」
「あー…そういえばみんな女の子だね」
「…なあ」
「んー？」
「それって、A知ってんの？」
「知ってるよ？昨日貼り紙見て聞かれた。
はい、カツカレー」
ニノはちょっと口をとがらせて、俺がカウンターに置いたカツカレーのお皿を取った。
「Aとうまくいってんの？」
「いってるよ」
「あっそ。ならいーや」
「……でも、たまに」
ニノがカツカレーを食べながら、上目遣いで俺を見る。
「たまに？」
「言いたいこと、我慢してる気がするんだよね」
「…あいつけっこうひねくれてるからな」
「ひねくれてるっていうか…
自分を見せるのを怖がってるような」
「あー、確かに。そんな感じ」
やっぱりニノも気づいてたんだ。
黒ぶちメガネの奥の琥珀色の瞳が、きらって光る。
「でも、さ。俺思うんだけど。相葉さんはいろいろ考えすぎない方がいいと思うよ？」
「どういうこと？」
「あなたのいいところがなくなっちゃうよ」
「えっ⁈そうなの⁈」
「そーだよ。何も考えずに、好き好き言ってちゅーとかぎゅーとかしてなさいよ」
「してるよ！」
「即答かよ。じゃあ、大丈夫だよ。そのうち解決すんでしょ」
「そーかな？」
「ひねくれてる俺の親友何年やってると思ってんの？」
「そっか…そうだよね！」
「なんか納得されたらされたで、ちょっとムカつくんですけど」
俺が笑うと、ニノも片頬を上げて笑った。
「ニノと花ちゃんみたいに、何でも分かり合える二人になれるといいな」
「まあね。俺と花も、それなりにいろいろありますよ」
「そーなの？いつも仲良しじゃん」
「仲良しは仲良しだよ。
…花は素直なんだけど頑固だからさ」
軽くため息をつくニノを見て。
どんなに順調そうな二人でも、二人にしかわからない感情や悩みがあるんだなって思う。
うん、ニノの言うとおり。
俺はあれこれ考えすぎないようにしよう。
ニノがカツカレーを食べ終わったころを見計らって、カウンターにプリンを置く。
「なにこれ」
「サービス。試作品なの」
ニノ、ありがとね。
「あまっ！まずっ！」
…前言撤回。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 992人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2014年11月27日 20時
