幸せを君に【悔いなき選択】 (ページ2)

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Aと言えば、

ついこの間、夫婦もメイドも…

そして子供(・・)も殺された

政治家一家の名前だ。

確か、地下街の住人を

地上に移すとか

なんとか言っていた

支持率の高い政治家の…

そう思うと、

おかしい点がいくつも浮かぶ。

殺人から逃れたガキがいるなら、

なぜ憲兵は保護せず、追った？

殺人から逃れたなら

なぜ地下街にくるんだ？

憲兵に保護を求めればいい。

様々な疑問を抱えたままだったが、

俺はそいつになにがあったか聞けないままだった。

クソみてぇな話だが、

こういうのを“勇気がなかった“と

言い訳するんだろう＿＿＿＿

それから数年がたった頃だった

そのガキ、Aは

俺というクソ野郎に育てられ

殺人鬼と化していた。

昼間は俺たちと一緒に

立体機動装置で盗みを働き、

夜は親の仇だと言っていた

憲兵を殺して回った。

どうして仇なのかは深く探らなかった

Aは強かった。

下手すると俺以上だ。

Aはバク転も

クライミングも覚えた。

ナイフ術も立体機動装置も

すぐに覚えた

寝る間も惜しんで特訓する

そいつに俺は聞いた。

“なぜそこまでするんだ“

と。

Aは答えた。

｢お母様が言ってた。

努力は報われる。努力を怠るな、

日々全力を尽くせって。｣

今更だが、Aが過去のことを語ったのは

これが初めてだった

それから程なくして

ファーランの母親は死んだ

Aは白い髪が発見されてしまい

“白の悪魔“という通り名が出来、

その通り名は人類全体に広まった。

そしてAは

指名手配をされるようになった。

ただこいつが幸運だったのは

白い髪しか発見されなかったことだ。