剣持警部の殺人(3page) ページ7
「やっぱり…私って頼りにならないんでしょうか…」
あれから明智警視と別れ、正野さんと毒島陸が入院している病院の病室前で大人しく警備をしてるが、私からは情けない声が出た。
そんな私を宥めるように、同じく毒島陸の警備をしている正野さんが慌ててフォローに入る。
「そ、そんなことないと思うけど…多分今回は剣持警部が絡んでるせいではないかな」
「と、言いますと…?」
「君の場合、感情を挟みやすいからとかそんなところだろう。実際、剣持警部の部下である僕もまず捜査から外されてる訳だし… 捜査に支障が出ると考えたんじゃないかな」
正野さん曰く、今回の殺人未遂容疑は剣持警部にかけられているからこそ中立に欠けた行動を避けるべきだと明智警視は判断したのかもしれないと話す。
「それは…そうかもしれないですけど…」
それを聞いて言葉を濁す私。
私たちは剣持警部の人柄を唯一知っている。
剣持警部が殺人未遂だなんて未だに信じられない。
今でも私は剣持警部が毒島陸を撃ったのは何かの間違いだと、そう思ってる。
だからこそ、それを察した明智警視は私も捜査から外したのかもしれないけど…。
「明智警視自身は、剣持警部のことをどう見てるんでしょうか…」
「あの人のことだから、容赦なく剣持警部を捕まえる気でいるかもしれないなぁ…」
正野さんのその言葉に胸が苦しくなった。
今、病室の中にいる毒島陸は発砲事件に巻き込まれる前に剣持警部に会ったと言っている。
その時に出所したことを剣持警部の目の前で喜んだ上に反省なんかクソくらえだと言ってやったとほざいたのだ。
私が剣持警部の立場だったら、その場で撃ち殺す気になったかもしれない。
だからって、剣持警部が毒島陸に対して殺人未遂を犯すとも到底思えないけど。
そんな私は今、毒島陸の警備をしている。
いくら今回の事件の被害者としても、元は加害者。
そんな加害者を守ることに疑念を抱いてしまっていた…。
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作者名:紫亜 | 作成日時:2024年3月24日 2時