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露西亜人形殺人事件(28page) ページ3

それから私が目を覚ました時には、再び病院のベッドの上にいた。
迎えのボートと警察が集まって、私たちは救助されたらしい。
事件を担当した明智警視から、そう聞かされた。

金田一くんの話によると、真相を暴かれ自害を図った想子さんを高遠遙一が助けたそうだ。
彼は、そのあと気球に乗ってロシア館を去り再び逃亡。
結局、また逃げられてしまった。

想子さんの事件の動機は、彼女の壮絶な人生から始まる。
想子さんの父と山ノ内恒聖は大学の時の友人で、以前このロシア館に住んでいた桐絵親子の元に頻繁に金を借りに訪れていたという。

その時に作家を目指していた山ノ内恒聖に、自身が書いたロシア人形殺人事件の小説を見せた想子さんの父。
だが、山ノ内から返ってきた言葉は小説にならないという返事だった。

その後、結局書いた小説を発表しなかった想子さんの父は事故死してしまい、残された想子さんはロシア館を去ることに…。
そして、成人した頃に働いていたスナックで運命的な出会いが待っていたのだ。
客として来店してきた山ノ内と再会し、想子さんの方は覚えていたが山ノ内が気付いている様子はなかったという。

それから衝撃の事実を知ることになるのだった。
なんと、想子さんの父が書いた小説を自身が書いた小説だとして山ノ内は世間に発表していたのだ。

想子さんはすぐさま、何故父の作品が山ノ内のものとして発表されたのか経緯を知るために、山ノ内に作家修行をしたいと偽って、ロシア館に住む山ノ内の家に転がり込んだという。
そこで更に衝撃の現場を目の当たりにした想子さん。
山ノ内が想子さんの父がロシア人形殺人事件のトリックを執筆したトリックノートを読み耽っている姿を目撃したのだ。

山ノ内は想子さんの父のアイデアを盗んで作家としてデビューしたに違いないと思った想子さんは、今回山ノ内の遺産相続を巡る候補者たちを次々に殺害。
山ノ内の遺書を先に読んでいたため、謎解き合戦で最初に暗号を解いた者に財産を譲るという山ノ内の遺書通りに自分の手に渡るよう仕向けたのだという。

しかし、金田一くんがそれを食い止めたので、それ以上の犯行は行われなかった。
現に残る候補者の梅園さんと犬飼くんは生きている。

それ以上の殺人を防げたとはいえ、なんとも後味の悪い結末に言葉が見つからない。
彼女はその後、刑務所に入れられている。
しばらくは想子さんの気持ちを思うと、やり切れなかった…。

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作者名:紫亜 | 作成日時:2024年3月24日 2時

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