剣持警部の殺人(8page) ページ12
しばらくして私は目を覚ます。
既に辺りは夜のようで、暗かった。
徐に体を起こすと、ズキズキと頭に痛みが走り、思わず頭を抱える。
「ここは…病院…?」
誰かによって運ばれてきたのか、最後の記憶が曖昧で思い出そうとしても中々思い出せなかった。
毒島くんを探していたのは覚えている。
それで彼を見つけて…。
「そうだ、毒島くんは…」
そう思い立つと、私は病室を出た。
その時、直ぐに火災報知器が鳴り始めて嫌な予感がする。
普通の病院に運ばれたかと思ったが、よく見るとここは警察病院内だった。
もしかしたら毒島くんも、再びここに運ばれてるかもしれないと彼の病室を探す。
すると、その時だった。
「毒島ぁ…!」
直ぐに男性の声が聞こえて、急いでそちらに向かう。
聞き慣れた声だった。
もしかしたらそれは剣持警部で、私が眠っている間に見つかったのかもしれない。
そして、角を曲がって直ぐだった。
目の前に広がった光景に思わず絶句する。
毒島くんと剣持警部が揉み合っていて、2人の手にはメスのような凶器が見えたからだ。
2人は揉み合っているせいか、私に気づいていない。
「くっ…!」
直ぐに拳銃を取り出そうとして服に手を伸ばしたが、今の私の服装はいつものスーツではなく患者用の入院服だった。
拳銃はどこにも見当たらず、2人を止めようにも走って向かうしかない。
再び駆け出そうとした、次の瞬間だった。
「剣持警部!手を離してください!」
そう言って向かい側の方から2人に拳銃を向けたのは、不動署の刑事、青井さんだった。
2人は驚いて青井刑事に振り向くと、揉み合いをやめてメスを落とす。
「違う!このメスは毒島が…っ」
「言い逃れするつもりですか!」
「オッサンは嘘は言ってないぜ」
するとそこに金田一くん、明智警視と美雪ちゃん、そして十神まりなさんの妹、えりなさんと当時加害者の弁護士を務めた湖森涼介弁護士が続々と現れたのだ。
まるで剣持警部が毒島くんを襲ったかのように見えた騒動だが、実は毒島くんが剣持警部を襲ったことが金田一くんの推理によって暴かれていく。
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作者名:紫亜 | 作成日時:2024年3月24日 2時