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｢グリシャ先生、私は、これから、どう生きるべきですか？｣
彼女の目にあの頃の輝きは映っていなかった。
まだ10歳の少女、暗い影がまとわりつく。
両親の喪失が彼女の心に深い傷を刻み込み
感情を固く閉ざしてしまった。
生前彼女の両親が口にしていた言葉をグリシャは思い出した。
純東洋人であり治癒能力を手に入れた娘は
この先バレてしまえば必ずや殺される、と。
グリシャは全てを踏まえ、見抜いている。
だからこそ彼女にこのような言葉をかけた。
グリシャ
｢君は…これから先地獄の道だとしても進まなければならない。｣
グリシャは彼女の母、リリの遺品に触れる。
手に取ったのは、シーグラスで飾られた美しいネックレスだった。
グリシャ
「これは君の母が大切にしていたもの。彼女の愛がいつも君とともにあるように。」
リリがいつの日か言っていた、愛する夫であるカンジから貰ったもの。
シーグラスの冷たさが彼女の首元に触れ、
その瞬間、彼女の心は時の旅路に連れ去られた。
母のリリが語っていた言葉が、鮮やかに彼女の耳に蘇る。
リリ
｢浜辺で手に入れたこのシーグラスの意味は運命の出会い、貴方に出逢えた私たちは奇跡よ。大切な人が出来たら渡しなさい。｣
浜辺…、水の絨毯。
炎の水に砂の雪原、氷の大地。
彼女は手に持っていた本の内容を思い出す。
ああそうだ、私は。
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作者名：しゃむねこ | 作成日時：2023年11月18日 19時
