イノオシェルター (ページ12)

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現場検証ページ12

山田side

伊野尾警部補に摘まみ出され、外でしゅんとしていた薮警視とともに被害者宅へ向かう。
２人で連れ立って歩きながら、さっきのことについてふれてみた。

山「あんなに殺気立った伊野尾警部補、初めて見ました」

薮「ああ…あれは俺が悪かったな…。伊野尾は見た目とは裏腹に意外と熱血漢なところがあってな、殺された被害者の無念を晴らしたいって思いが人一倍強いんだ」

山「本部で高木先輩に聞きました。みんなが気にも留めないようなこともしっかり調べて、事件を解決に導いてたって。どうして、あの部屋に籠るようになってしまったんですか？」

薮「う～ん、それはまだ教えられないな……さあっ、被害者宅に着いたぞ！」

そこで話しは終わってしまった。
俺は伊野尾警部補に指示されていた通り、テレビ電話を繋いでKEEP OUTのテープをくぐった。

伊『まずは、裏の勝手口を見せて。ドアノブの周りに傷や汚れなんかはない？」

俺はスマホを近づけて映しながら、自分でも確認した。

山「特に見当たりません。」

伊『勝手口までの地面ってどんな感じ？土？』

山「土ですが、飛び石が打ってあって歩きやすくなっています」

伊『足跡は見つからなかったから、紗央里は飛び石をきちんと踏んで行き来したことになるな。家の中の様子、見せて。』

俺は勝手口から家の中へと足を進めた。キッチンを映しながら、遺体があったリビングへ。

伊『リビングは随分と派手に荒らされてるね・・・』

薮「コタツまでひっくり返されてら。こりゃ、本当に金を探してたのか疑わしいな」

山「どういうことですか？」

薮「現金がありそうな場所ってどこだと思う？」

山「戸棚の中とかタンスの中とか・・・」

薮「そう！そういう所を探すだろ？コタツの中に現金置いてるなんて聞いたことない。現金が置いてなさそうな場所まで荒らされてるってことは…」

山「本当に探していたのは、現金じゃない！」

薮「その可能性はあるだろうな」

本当は何を探してたんだと辺りを見回していると、「薮も居たんだ」という伊野尾警部補の不機嫌な声が聞こえてきた。

薮「さっきは悪かったよ……、山田くんは今回の事件が初捜査だし、単独行動は危険だろ？」

伊『……そうだね。それで、犯人は何を探してたと思う？』

薮「それは…まだわからない……とにかく物がすごく散乱してて……」