恋、始まりました『染谷勇次郎』

じゅーいち ページ12

お互い黙りこんだままかれこれ10秒







染谷くんは向こうを向くと教室を出ていこうとした







貴「染谷くん！待って！」







勇「は？」









すぐさま染谷くんのところへ走り、腕をひいて教室に引き戻す









当の本人は眉間に皺をよせて私を睨んだ








おお、こわ









勇「なんだよ」






貴「こ、こっち！」




染谷くんの腕をつかんで絆創膏のある自分の席に向かう






貴「あのさ、手.......」





手？と言いながら手を見始める彼を椅子に座らせて私も椅子に座って彼に近づく






貴「昨日私とぶつかった時の」



勇「別に大したことないし」





と椅子を立ち上がる彼を全力で引き留めると








染谷くんはお怒りになったのか目付きが鋭くなる








今のは本気で怖い








こんなところで折れる神経してないぞ私は！




貴「跡残ったらどうするの！いいから早く座って！」






私も負けじと彼を見つめると






ついに彼は折れたのか大人しく椅子に座った








.........勝った







私も椅子に座り直して絆創膏を出す









勇「バカじゃないの、こんなの跡にもならないよ大袈裟すぎ」




貴「アイドルでしょ」







染谷くんは口を開けば悪口しか言わないなあ.......よくアイドルになれたよね






貴「それにぶつかったの私だし、これくらいさせてよ」






染谷くんはチラッと私を見るとすぐそらして





勇「あんた、変人だね」




勇「いい意味で」








と言った








........いい意味の変人ってあるの？

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