【文豪ストレイドッグス】《真実》の弟、《理想》の兄 ___ 弐

真実《肆拾参》 ページ17

『尾崎殿、僕もついていっていいのですか？』

僕の少し前を歩く尾崎殿に声をかけると、尾崎殿は携帯電話を取り出してこちらを向く

尾「嗚呼、かまわぬ」

『何処かに連絡をするのですか？それならば僕は必要ないのでは？』

尾「いいや、そなたにもいてもらわねば…のう？」

尾崎殿の笑顔に影が射し、背中を冷たいものが走った

なんだろう………なにか嫌な予感がする……

ひきつっているであろう己の顔を尾崎殿にばれないようにそっと顔を伏せる

その時、何処からか着信音が鳴り響く

結構近い位置からだ

尾「夜叉白雪よ 鏡花に近寄り嘘の世界を教えるものに 罰を与えよ」

『…！？尾崎殿！？』

僕が尾崎殿の携帯電話を奪うより早く、鏡花の目の前で夜叉白雪は敦君の躰を貫いた

敦君……！

尾「害獣の血でも飛沫く様は美しいのう そうは思わぬかえ
愛しの鏡花や」

泉「………………！独斗、に、い」

『鏡花………！』

鏡花と敦君に駆け寄ろうとすると、尾崎殿が僕の前に手を出し、それを止める

僕の足は、そこで止まった

尾「独斗、そなたは私についておれ…勝手な動きは許さぬぞ…？」

『っ………御意』

尾「いい子じゃ……………息災じゃったか？」

僕の頭をさらりと撫で、尾崎殿は鏡花へ歩み寄る

僕は尾崎殿の斜め後ろを大人しくついて歩いた

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今日の文豪名言集

死ぬということは、生きているよりいやなことです。けれども、喜んで死ぬことが出来れば、くだらなく生きているよりは幸福なことです 谷崎潤一郎

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