【文豪ストレイドッグス】《真実》の弟、《理想》の兄 ___ 弐

真実《肆拾弐》 ページ16

『ごめんね、しばらく君と話していなかったね______ゲン』

"ゲン"とは、僕の造り出した異能力生命体だ

幻闇獣のゲンは、芥川君の羅生門を想像(イメージ)して造った

けれど、一つ欠点がある

戦闘向きの異能力生命体だから、その分、戦っているときの血の消費が尋常じゃない

大怪我でゲンを出した日には死にかけるほどだ

けど、戦っていなければほとんど血は必要ない

だから、ときどき話している

そのお陰か、ゲンは僕になつき、甘えるほどにまでなっていた

僕の頬にすり寄ってくるゲンの頭を撫でながら窓の外を眺める

ゲ「〜♪」

『相変わらず甘えん坊だなぁ』

突然、僕の部屋の扉がノックされた

こんこん

「独斗〜おるかえ？」

ん？……尾崎殿？

『ゲン、少し待っていて』

何の用だろう………なにかあったのだろうか

そんなことを考えながら扉を開けると、尾崎殿の後ろに、黒ずくめが複数人立っていた

尾「私(わっち)らはこれよりあの人虎の小僧の始末に行く…独斗、お前も手伝ってはくれぬか…？」

人虎……………敦君か……

『御意』

なんだろう…………嫌な予感がする

ゲンを連れて歩きながら、僕は嫌な予感の意味を考えながら歩いた

ゲ「カツト、イタ？」

『ん？』

ゲンが僕の顔を心配そうな顔で覗き込んでいる

僕が暗い顔をしていたからだろうか

『大丈夫、どこも痛くないよ』

ゲ「ホ、トウ？……イタ、ナイ？」

『うん、本当に』

ゲ「ナラ、ヨカ、タ」

ゲンはそう言い残すと、すぅっと消えていった

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死ぬということは、生きているよりいやなことです。けれども、喜んで死ぬことが出来れば、くだらなく生きているよりは幸福なことです 谷崎潤一郎

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