伍行目 ページ6
敦くんが行く先々に現れるという人食い虎…
けど…なんで敦くんはこんなに狙われているんだろう
孤児院を襲ったと言っていたけれど…食べ物を狙っているのだとしたらなにも敦くんにこだわる必要はない
だとしたら…人食い虎は、ただの虎じゃない
『………』
きっと、太宰さんはこれ以上の事に気づいている
現に今、太宰さんは滅多にすることのない真剣な顔をしていた
太「それ いつの話？」
敦「院を出たのが二週間前 川であいつを見たのが＿＿＿四日前」
国木田さんは、パラパラと手帳をめくり、眼鏡を押し上げる
そして、ある頁で手を止め、太宰さんをを見た
国「確かに 虎の被害は二週間前からこっちに集中している それに、四日前に鶴見川で虎の目撃証言もある」
『……』
敦くんある所に人喰い虎あり
なんて、言葉にできそうなほどぴったりと合う敦くんの証言と国木田さんの情報…
被害は虎が何かを口にし、逃げ去るようなことがほとんど
敦くんを執拗に追い回す理由もないし、何より餓死寸前だった敦くんが脂身の乗った美味しい肉なわけがない
なぜ、敦くんのゆく先々に虎は現れるのだろうか
太宰さんは顎に手を添え何かを考えているようだ
そして、にぱっと笑顔を浮かべると、敦くんを指さした
太「敦君 これから暇？」
隣の敦くんに目を向けるとすごい顔をしていた
敦「……猛烈に嫌な予感がするのですが」
奇遇だね、僕もする
嫌な予感がして手先が寒くなってきた
太宰さんはにこにこと笑顔を崩さない
太「君が“人食い虎”に狙われてるなら好都合だよね」
まさか
『太宰さん、それは……』
僕がはなそうとすると、太宰さんは人差し指を唇に当てた
喋るな という事らしい
太宰さんには何か策があるのかもしれない
僕の様子で何となく何をさせられるか検討がついたのだろう
敦くんは勢いよくガタッと音をたてて立ち上がった
敦「い いい嫌ですよ！ それってつまり”餌“じゃないですか！誰がそんな…」
太「報酬出るよ」
ピタッと敦くんの声がやんだ
どうやら”報酬“で、少し考え始めたらしい
太宰さんは何やらサラサラと紙にペンを走らせ、僕に渡した
太「藤村くんは先に確認して、このとおりに動いてね」
『はい…』
«十五番街の西倉庫に虎が出る 逃げられぬよう周囲を固めろ»
十五番街に、虎？
敦くんとの会話で何が分かったんだ…_？
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名無し83958号(プロフ) - とても面白いです。更新とか頑張って下さい！ (2020年4月30日 19時) (
レス) id: 4a83a3e4ca (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - 石灰さん» 本当ですか！？ありがとうございます！！不定期更新ですがこれからもよろしくお願いします！！ (2018年7月9日 16時) (レス) id: 1d0f2959ec (このIDを非表示/違反報告)
石灰 - 面白いです!何時も楽しく読ませていただいています!!! (2018年7月9日 15時) (レス) id: 9ab49a9e94 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - ロゼさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年11月29日 7時) (レス) id: 850713bd82 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2017年11月29日 2時) (レス) id: 5d79736247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨宮碧音
作成日時：2017年11月29日 2時
