拾参行目 ページ15
『…また、買い物の付き添いしてもいいですか？』
探偵社の扉の前まで帰ってきた
両手の塞がっている僕に代って扉を開けている与謝野女医にふっと呟いた
与謝野女医はちょっとだけ驚いたような顔でこちらを振り向いた
そして、嬉しそうに顔を綻ばせ、僕の頭に手を伸ばし、くしゃりとひと撫でする
与「あぁ、また一緒にいこう あんたは本当に人を喜ばせるのがうまいねぇ」
『……ありがとうございます』
？「あの………すみません」
与謝野女医が中に入っていったので、僕もそれに続こうとした
後ろから聞いたことの無い声がして振り向くと、金髪の女性が遠慮がちに僕を見ていた
『…はい、なんでしょう？』
？「探偵社に依頼があって来た樋口という者ですが…ここは探偵社…ですよね？」
『……依頼人の方でしたか…話をお聞きします…中にどうぞ』
僕は持っていた荷物を扉の近くに置き、袖口から携帯電話を取り出した
『………もしもし、潤一郎くん』
«谷「もしもし、藤村くん？ どうしたの？」»
『…依頼が来たから、依頼人の話を聞いて欲しくて』
«谷「………え 依頼？」»
_____________________
ちょこんとすわる金髪の女性の前にずらりと並んだ探偵社員
潤一郎くんは紙とペンを手に依頼人の女性に顔を向けた
樋「…………」
谷「えーと 調査のご依頼だとか」
手に持った資料を確認し、潤一郎くんが顔を上げる
僕は先程注いだお茶を女性と潤一郎くんの前に置く
谷「それで………」
太「美しい………」
潤一郎くんの横から太宰さんがサッと出てきて、女性の手を握るなり呟いた
樋「へっ！？」
太「どうか私と心中していただけないだろ___
スパァァンッ
軟派し始めた太宰さんの頭がいい音を響かせた
困惑する女性に背を向け、太宰さんの襟首を引っ掴んで引きずる国木田さん
未だに楽しそうに心中に誘う太宰さん
痛くないんだろうか……
僕は少し目を細め、それから自分のデスクから大きめの茶封筒を手に取った
国木田さんが入っていった扉をこんこんとノックする
国「なんだ？」
『…島崎です…これから猫探しの依頼なので行ってきます…』
国「わかった くれぐれも粗相の無いように」
『…はい』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し83958号(プロフ) - とても面白いです。更新とか頑張って下さい！ (2020年4月30日 19時) (
レス) id: 4a83a3e4ca (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - 石灰さん» 本当ですか！？ありがとうございます！！不定期更新ですがこれからもよろしくお願いします！！ (2018年7月9日 16時) (レス) id: 1d0f2959ec (このIDを非表示/違反報告)
石灰 - 面白いです!何時も楽しく読ませていただいています!!! (2018年7月9日 15時) (レス) id: 9ab49a9e94 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - ロゼさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年11月29日 7時) (レス) id: 850713bd82 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2017年11月29日 2時) (レス) id: 5d79736247 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨宮碧音
作成日時：2017年11月29日 2時
