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肆拾伍行目/或る男の思惑2 ページ9

敦「僕と食べたクレープを«美味しかった»と 無価値な人間には呼吸する権利も無いと云われて__彼女は«そうかもしれない»と」

国木田さんも僕も、敦くんの声に呆然としていた

あのオドオドとしていた敦くんが、必死に誰かを救おうと___

敦「僕は……違うと思う!だって太宰さんは__」

こんなにも、必死に戦える敦くんが、僕は酷く眩しく見えて



敦「探偵社は僕を見捨てなかった!」








〈俺なら、お前を救えるかもしれん〉


あのゴツゴツした大きい手が、僕の手を掴んだ暖かい手が、僕の目の前に蘇った

僕が取らなかった、あの1度目の救いの手が

ああ、敦くんから目が離せなかったのは……あの人に似ていたからか…





敦くんはキッと鋭い目付きで顔を上げた

ふっと散った雫が日を受けて光る

敦「僕__行ってきます!」

国「おい!」

敦くんは踵を返すと、勢いよく甲板の方へと走り出した

あっけらかんとした顔で敦くんの背中を眺めていた国木田さんも、キッと眉間に皺を寄せ、僕に向かって頷いた

僕もそれに応える

国「走れ敦!!」

彼女(セリヌンティウス)を救うため、敦くん(メロス)が足を踏み出した









________________________







外国のある一室

きらびやかな白いスーツを身にまとった1人の金髪の男が、金に輝く腕時計をチラつかせ、ニンマリと口角を上げた

両腕をソファの後ろへとたれ、ふぅと息を吐いた

「時間だ 島国の田舎マフィアめ 約束の時間も守れないとは…とんだはんちくだな!」

「やはり人虎には黒組織とはいえ人の身が勝つことは出来なかったということでしょうね」


深紅のカーテンの後ろから出てきた痩せこけた男は、不気味な白い面を身につけながら、金髪の男へと近付く

くすくすとこれまた不気味な笑い声を漏らすと、男が見ていたパソコンの画面をのぞき込んだ

画面には優雅に紅茶を飲む女性と、黒いマントを羽織った男の姿が写っていた

金髪の男__フィッツジェラルドは、手元にあったマイクを取り上げると、その先を口元に持っていく

「聞こえたか?懸賞金作戦は失敗…どうしたものだか」

カチャと陶器がぶつかり合う音が響く

・→←肆拾肆行目



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名無し83958号(プロフ) - すっごく面白いです!更新を今か今かと待ち望んでます。頑張って下さい! (2020年4月28日 19時) (レス) id: 4a83a3e4ca (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - 虚さん» コメントありがとうございます!近々再び更新を再開する予定なので気長に待っていただければ幸いです! (2019年9月19日 18時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - え、なんこれドチャクソ好きです。更新頑張ってください! (2019年9月19日 17時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - クロッキーさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…!頑張ります! (2019年5月27日 15時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
クロッキー(プロフ) - めちゃくちゃ好きです………!更新頑張って下さい! (2019年5月27日 12時) (レス) id: 3248997e70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨宮碧音
作成日時:2018年9月21日 1時

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