肆拾参行目 ページ7
ゆらゆらと背もたれに体重をかけて前後に揺れる乱歩先生に諭吉先生は顔色を変えずに口を開く
福「乱歩 もし恙なく新人を吊れ戻せたら___
乱「
福「褒めてやる」
諭吉先生がどうだ？と言うように乱歩先生に提案する
ゆらゆらと揺れていた乱歩先生はピタリと動きを止め、普段は閉じられている目を大きく見開いた
驚いた顔がだんだんと赤みを帯び、ぱあと明るく輝き出した
乱「そこまで云われちゃしょーがないなあー！」
声高らかに叫び、ガタンと勢いよく椅子から腰をあげると、諭吉先生から渡された写真をシュッと手に取り、黒縁メガネをかけた
……〔超推理〕！！
ピタリと動きを止め、写真を凝視する乱歩先生
数秒経つと、乱歩先生は静かに人差し指を上げ___
中央に広げられたヨコハマの地図にとんと置いた
乱「……敦くんが今いる場所は_____」
乱「_____ここだ」
乱歩先生が指を指した先
水色に染められたそこは……
『………海…！？』
乱「速度は東南東に20
海を指していた指を離し、乱歩先生はメガネをくいっと掛け直した
乱「死んではいない 今はね」
死んではいない……沈んでいる訳では無いのか…？
……まさか
国「船か__！」
福「輸送先は
『……拙いです 国外に運ばれたら手出しが出来ない……』
そう呟いた時、諭吉先生が袖をゴソゴソと漁りだした
福「港に社の小型高速艇がある」
袖を漁っていた手の中には鍵が握られている
諭吉先生はそれを国木田さんに投げ渡した
福「今出せば間に合う 藤村の異能力でエンジンも加速させることが出来る」
『……！』
国木田さんがパシッと鍵を掴む
国「藤村！！」
『……はい…！！』
僕は国木田さんの背中を追って、全速力で外へ飛び出した
国木田さんが鍵を差し込みぐるりと回すとぐおんぐおんとエンジンが唸り始める
僕はエンジンの上あたりに掌を付け、国木田さんを見上げた
国木田さんは依然険しい顔のまま僕の顔を見返すと、コクリと頷き操縦桿を握った
『……〔破戒〕』
鈍く、低く唸っていたエンジンはやがて高く叫びだし、高速艇の速度を上げる
黒く、大きな輸送船はすぐ目の前に迫っていた
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名無し83958号(プロフ) - すっごく面白いです！更新を今か今かと待ち望んでます。頑張って下さい！ (2020年4月28日 19時) (
レス) id: 4a83a3e4ca (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - 虚さん» コメントありがとうございます！近々再び更新を再開する予定なので気長に待っていただければ幸いです！ (2019年9月19日 18時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
虚(プロフ) - え、なんこれドチャクソ好きです。更新頑張ってください！ (2019年9月19日 17時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - クロッキーさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです…！頑張ります！ (2019年5月27日 15時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
クロッキー(プロフ) - めちゃくちゃ好きです………！更新頑張って下さい！ (2019年5月27日 12時) (レス) id: 3248997e70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨宮碧音
作成日時：2018年9月21日 1時
