第1話 ページ3
冷たい石の壁に体を預け、ボーッと壁を見つめる。
ここは地下牢。大罪を侵したものが容れられるところだ。
大罪人である私こと雪は、もう何年もこの独房で暮らしている。
地下牢なので太陽の光は入らないし、明かりだって廊下にしかないので、この独房はとても暗い。
「暇だな……」
ポツリと呟いた言葉が、暗い独房に僅かに反響する。
首輪や手枷の存在には充分慣れているのだが、この暇さ加減にはいつまでたっても慣れることができない。
人形のようにただ座っているだけの私の前髪を、何かがさらさらと撫でた。
「ならばここから出ましょうよ?」
澄んだ女性のような高いが聞こえて首もとに視線を移すと、水色の鱗の蛇がチロチロと赤い舌を覗かせながら、その黄色の瞳で私を見ていた。
私の首に巻き付いているこの蛇は私の友達で、名をレヴィと言う。幼い頃からずっと一緒にいてくれている。
「……無理よ。だって、私は大罪人なのよ?この組織から逃れることなんて出来ないわ。それに、マスターを裏切るような真似、私には無理」
私が所属しているこの組織は、罪人たちで構成されている。
よって、独房の外には看守たちが常に見張っているし、首輪や手枷、足枷により魔力の放出がストップされているので、誰もここから逃げることなんて出来ないのだ。
ちなみにここにいる罪人とは、窃盗や強迫などの罪に問われているわけではない。
私たちの罪。それは……。
私たちの存在そのもの。
ここにいる者たちは一部の例外を除き、悪魔や天使などのハーフ・クォーターだ。
人の身には大きすぎる力をもって生まれたこと。それが私たちの罪。
下級悪魔や天使と人間の子供は、ここでは『Cランク』と位置づけられ、中級悪魔又は天使との間に生まれたならば『Bランク』。そして、上級悪魔・天使ならば『Aランク』になる。この流れでわかるだろうが、私のような『Sランク』はさらに強力な悪魔や天使などの子供にあたる。
Sランクが最も罪深いとされているのも、これでわかるかと。
「マスターを裏切りたくないって……。あなたから自由を奪っているのは、他でもないあの男よ」
少し憤慨しているかのように語気を荒げるレヴィを宥めていると、廊下から足音が聞こえてきた。
「……雪、誰か来たわよ」
見回りの看守だろうかと思ったが、私は鉄格子の向こう側に立つ人物を見て唖然とした。
「マスター!?」
私が敬愛して止まない主がそこにはいた。
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朱里(プロフ) - ナンシー・ハジェンズさん» アドバイスありがとうございます! 参考にさせていただきます!! (2013年8月26日 21時) (レス) id: 13f8c978a2 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 自由に描いてもらったら別に良いんだけど、まぁこんな意見もあるんだと思って見てくれたらと思います。ちょっと御拝読させてもらったんだけど、文章の構成に違和感があったかな。順序を入れ替えるだけでも大分違うし。推敲をもう少しやってみては? (2013年8月26日 19時) (レス) id: 61cd583815 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2013年8月24日 12時