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ポップコーンのように/ci ページ6

私の彼氏は天邪鬼だ。


「あ、そうや映画見ぃひん?」
「映画? 映画館閉まってるよ」
「やなくて、ア○プラでなんか評価高い奴選んで家で見ようや」
「あー! いいね」


 金曜日の二十二時。
夕飯を済ませた後のこの自由な時間を無駄にしないように、早速テレビを操作してアプリケーションを開く彼。
いつも仕事終わりは疲れきっていて、夕飯を食べたら直ぐに眠くなってしまう。
でも今画面を見つめて輝かせている瞳は真逆で、そんな彼に負けじと私も隣に座って一緒に映画選びを始めた。
そう、なんたって今日は金曜日、明日はお休みなのだ。
睡魔に負けるまで映画が見放題、なんだってやり放題!


「そうなると、なんか飲み物と食べ物が欲しくね?」
「あー、確かに。映画といえば……」
「ビールとか?」
「いいね、冷蔵庫にあるよ」
「あと俺アレ食べたい! ポップコーン!」
「ポップコーン? は、無い……コンビニ行こうか」
「コンビニかぁ……」


 映画を探していた手を止め、明後日の方向へ視線を向ける。
そういう時の彼は、だいたい真剣にくだらない事を考えている。
いとしい彼の要望ならなんだって叶えてあげたいが、彼の思考はいつも予想の斜め上を行くからなあ……。


「あ、オレ、あれやりたい、フライパンでパンパンするやつ」
「ええ? ポップコーン今から作るの?」
「コンビニのポップコーンじゃ味気ないやん」
「わがまま〜」
「ええやん、手作りのポップコーンとビールと映画、最高の夜更かしちゃう?」


 確かに彼となら深夜のポップコーン作りも楽しそうだけど、生憎そのような物は常備していない。
買いに行くにしてもこの時間じゃ近所のスーパーは開いてないし、二十四時間営業のスーパーはかなり歩く。
行って帰って来て一時間、作ってから映画鑑賞……なかなか道のりが長いぞ。


「顔が渋いんやけど」
「ちょっと時間の計算をしていました」
「え、どれくらいかかるん?」
「……多く見積もって今から二時間後に映画が始まります」
「二時間〜!」
「しかも結構歩く」



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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2022年3月9日 11時

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