人生万事塞翁が虎─12 ページ14
『ハァ……』
太宰「まぁまぁ、面白い話があるから聞きたまえよ」
ヤバイ人が云う面白い話は大抵はヤバイ話だと思うんだが
なるべくなら面倒なことに付き合いたくはない
太宰「今日、私たちがここに来た理由はね……虎探しに来たのだよ」
『虎?』
国木田「近頃、街を荒らしていると噂の“人食い虎”のことだ」
太宰「まぁ、本当に人を食ったかは知らないが倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったりと好き放題さ。最近はこの近くで目撃されたらしいけど…君たちはなにか知らないかい?」
───虎が畑を荒らす……?そんなの初耳だぞ?猪じゃあるまいし…
“異能力”とやらが関係してるのでは?
ふとそう思った
突如、机の上に積まれた大量の食器が床に転がり、何事かと隣を見れば椅子から落ちた敦がいた。
焦りと恐怖が見える
太宰「如何した?敦君」
敦は低い姿勢のまま店を出ていこうとする
敦「ぼ、僕はこれで失礼します……さ、さよなら…」
『敦まt((国木田「待て」
国木田さんが敦の襟首をつかんだ。それでも、そのまま走ろうとするが、まえには進まない
漸く諦めたのか、力が抜けた
敦「……無理だ。奴に…奴に人が敵うわけない!!!」
敦は酷く怯えているようだ
国木田さんが人食い虎を知っているのかと聞けば、敦曰く、虎は敦を狙っているらしい
聞けば、敦がいた孤児院はその虎におそわれたのだと云う。畑の作物や鳥小屋の鶏などほとんど喰われてしまい倉庫も吹き飛ばされ、悲惨な状態だったらしい
『それで、口減らしに敦が追い出されたということか?』
敦「うん……」
太宰「そりゃ災難だったね……」
国木田「それで小僧、殺されかけたと云うのは?」
敦は虎に対して相当怒っているのか、ドンッと机を叩いた
敦「あの人食い虎…孤児院で畑の大根食ってりゃいいのに、ここまで僕を追いかけてきたんだ!!」
太宰「それ、いつの話?」
敦「院を出たのが2週間前。川であいつを見たのが…4日前」
国木田さんはその頃から虎が目撃されたと云う
少し疑問に思ったことがあった
『敦、虎とはどれくらい距離があった?』
敦「あ、えっと、すぐ後ろにいた」
『すぐ後ろ、ね…』
ますますおかしくなってきたぞ?
───空腹の少年がすぐ後ろにいる虎から逃げ切れるわけがない
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素敵帽子くん - 続編へ! 話すなら#2でェ!! (2020年7月7日 8時) (レス) id: a7283ddb7a (このIDを非表示/違反報告)
素敵帽子くん - 無継さん» ありがとうございます! いま、急展開です。 (2020年7月7日 8時) (レス) id: a7283ddb7a (このIDを非表示/違反報告)
無継(プロフ) - 素敵帽子くんさん» はい。設定が細かくてここまで設定を細かくできて凄いなぁ。って思いながら読んでました (2020年7月5日 19時) (レス) id: fbd5b2b374 (このIDを非表示/違反報告)
素敵帽子くん - 無継さん» いや、読んでくださいました?? (2020年7月5日 19時) (レス) id: a7283ddb7a (このIDを非表示/違反報告)
素敵帽子くん - 無継さん» 私の 俺は君に惚れた。 読みました? (2020年7月5日 19時) (レス) id: a7283ddb7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無継 | 作成日時:2020年4月28日 19時