王と皇帝は相容れない筈だったpart3 (ページ10)

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騎士である為にページ10

ヒロインside

野坂に聞くかと思ったが
嫌な予感がする
止めておこう

『さて、どうしたものか。』

「あれ、会長？」
そこにいたのは奥野と谷崎だった

「どうかしたんですか？」
『いや、竹見が倒れたから竹見の部屋まで運ぼうとしたんだが、部屋が分からなくてな。』
「なら俺たちが預かりますよ。部屋まで運んでおきます。」
『そう、か？なら、頼む。』
私は谷崎に竹見を渡し踵を返した
しかし

「先輩、何してるんですか？」
野坂が笑顔で立っていた
いや笑顔だが目は全く笑っていない

『い、いつからそこに？』
「先輩が竹見君を背負い部屋から出て来たとこを発見してそのままつけてきました。」

『最初からじゃないかっ！』
「先輩、何故竹見君と部屋にいたんですか？」
『いやぁ、その、竹見が私に相談があるから、と。』
「へえ、それでご丁寧に部屋に上げたんですね。」
『ああ。私は生徒会長だからな。生徒の悩みを聞いただけだ。』
「けど、竹見君だって男です。先輩はちゃんと危機感を持って下さい。」
『いや、私なら返り討ちに出来る。』
「先輩は僕の恋人です。恋人以外の男子を部屋に入れないで下さい。」

ああ、分かった。分かってしまった
野坂が前からこういう表情をするときは決まってた
嫉妬だ
それもとびきり強力な

野坂の目を見たら分かってしまった
こいつは私のことを…

だから私は

自分が野坂の傍にいるために

野坂に言わなければならない

その想いは

その想いだけは

答えてはいけない

私の頭に警報が鳴る

言え！言わなければ野坂は

目的を野望を達成出来ない

『野坂。』

ごめんね

『その想いに』

私は弱虫だ

『私は答えられない。』

傷つけてごめんなさい

『私はお前を好きにはならないよ。』

広い廊下に無機質な私の声が響いた