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入間銃兎編 ダストボックスの住人Ep7 said Heroine ページ39

目の前で白目を剥いて倒れている人達を視界に入れないように俯いた

私は座り込み俯いて丸くなっていたから扉が開かれた事に気づかなかった

『(私がやったの?この人達を…。)』
自分への恐怖と春先の海の寒さにカタカタと震えていた私は暖かい何かに包まれた

「春とは言え、その格好で海辺は冷えるでしょう。」
『い、入間さん…。』
入間さんの匂いに包まれる

「此処は冷えますから移動しましょう。」
声音はどこまでも優しかった




入間さんは私の背を支えてくれたから私は歩けたんだと思う

きっと船の惨状について聞きたい事が山程あっただろうけど私の気持ちを優先させてくれた

車まで一言も船の事は聞かれなかった
只、無言で私を支える彼に愛おしさのような物を感じた


車の中に入った後缶コーヒーを手に戻って来た

「コーヒーは飲めますか?」
その問いにコクンと頷く
「どうぞ。熱いので気を付けて。」
『ありがとうございます…。』

プシッとプルタブを開け飲む
じんわりと心から暖まる

落ち着いてきたら恐怖がぶり返してきた
あのまま出港していたらどうなっていたのだろう

目が涙で霞む

「珠久里さん。まず、謝らせて下さい。申し訳ありません。」
『…?』
「貴方が拐われたのは私達警察の職務怠慢です。警戒が足りませんでした。」
『…………。』
「先日、水族館へ行ったでしょう?あの日私はデートではなく、もう一つ目的がありました。…密売者の捕獲です。」
『それを、部外者である一般市民(私)に言っていいの?』
「貴方は巻き込まれた側ですから。部外者ではありませんよ。」
『……じゃあ、今回のはその密売者による報復?』
「それもあるでしょう。ですが、彼等の本業は薬物の取引より人身売買だったのです。貴方がその標的になってしまった。」
私のせいで、そう言う入間さんは整った眉を寄せ申し訳なさそうな顔をしていた

『でも、入間さんは助けに来てくれたじゃないですか。』
「…未然に防ぐ事が出来なかったのです。貴方には私を責める資格があります。」
『逃げるのですか。』
「何?」
『責められる事でこの件を終わらせたいのではないのですか。』


『ちゃんと、』


『貴方はちゃんと、警察ですよ。ありがとうございます。助けてくれて。』




手に持っている缶コーヒーはぬるくなっていた







あとがき
入間編そろそろ、終わりますね…
おこめ、基本1人8話までと決めてます
番外編は本編全部書いてから書きます

入間銃兎編 ダストボックスの住人Last Episode said Heroine→←入間銃兎編 ダストボックスの住人Ep7 said Jyuto



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おこめ(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!ほわぁっ!?こんな駄作を面白いと評価していただいてありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2019年12月11日 7時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - タイトル見てすっ飛んできました。新鮮なお話でめっちゃ面白いです~!これからの展開が物凄く気になります。更新応援してます! (2019年12月10日 23時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 猫腹さん» コメントありがとうございます!凄く励みになります!頑張りまぁっす!! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
猫腹(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く好きです、頑張ってください (2019年12月7日 19時) (レス) id: 437f4e7ef6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おこめ | 作成日時:2019年12月5日 23時

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