観音坂独歩編 優しさの代償Ep1 said Doppo ページ5
珠久里さんは優しさの塊のような人だ
この女尊男卑の世の中ではとても異質で
男女差別のない人
そんな彼女は社員の羨望や憧憬を一身に受けているにも関わらず、それを鼻に掛けない人格者でもあった
まるで雲の上の存在
俺より年下だけど元々仕事が出来る人だった彼女はスピード出世した
でも変わらず彼女は誰に対しても敬語を止めない
一度、それは何故かと聞いた事がある
−−−−−−−−
『え?敬語を使う理由、ですか?』
「は、はい。あ、聞いたら不味いですか…?すみませんすみません、空気読めなくてすみません…。もう聞きません…!」
『だ、大丈夫ですよ!別に大した理由じゃないですから!』
こほん、と小さく咳をし
『初心を忘れない為です。出世したからと言って生きてる年数が変わるわけではありません。私より年上の人達は例えどのような立場でも私の【先輩】や【先人】に変わりありませんから。』
絶句した
年下でも生まれながらのエリートや飲み込みが異常に早い人は俺より出世して俺を顎で使う立場で実際顎で使われてるし
なのに彼女は常に礼節を守るよう心掛けている
「い、」
『い?』
「生きていてすみません…。」
『ど、どうしてですか!?』
顔を上げて下さい〜!って困ったように言う彼女に胸が温かくなった
彼女がいるなら明日も仕事頑張ろう
そう思えるようになった
−−−−−−−−
あの日から珠久里さんは変わらない
会社では最年少にも関わらず堂々とした振る舞い
だが、言動の中に少しだけ幼さを残す人
前からだけど彼女は
「…可愛い。」
『…え!』
「え、あれ…?俺、声に出してました…?」
『………。(こくり)』
「す、すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません…!無礼な口聞いてすみません!この口がいけないんです、いや、元を正せば自分の唇を操作出来ない俺が悪い…。そう、全部俺のせいだ…。すみません、今のはなかった事に…。」
『なかった事になんかしません。』
「え…?」
珠久里さんは口元に鞄を寄せてモゴモゴ言う
『う、嬉しかった、から…。なかった事になんか…。』
照れながら言う彼女を見て
胸に雷が落ちたような衝撃が走る
『あっ、もう駅ですね!で、では、これで!』
「ま、待って下さい!」
俺は珠久里さんの腕を掴んでいた
あれ?なんで俺、珠久里さんの腕掴んでるんだ!?
こ、こういう時どうすればいい!?
助けてくれ一二三ぃぃ!!
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おこめ(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!ほわぁっ!?こんな駄作を面白いと評価していただいてありがとうございます!ご期待に添えるよう頑張ります! (2019年12月11日 7時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
犬田(プロフ) - タイトル見てすっ飛んできました。新鮮なお話でめっちゃ面白いです~!これからの展開が物凄く気になります。更新応援してます! (2019年12月10日 23時) (レス) id: 4889f7f66e (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 猫腹さん» コメントありがとうございます!凄く励みになります!頑張りまぁっす!! (2019年12月7日 20時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
猫腹(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く好きです、頑張ってください (2019年12月7日 19時) (レス) id: 437f4e7ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おこめ | 作成日時:2019年12月5日 23時