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ざつだん ページ8

屋敷に向かう道すがら、私はフェリドに、今世界がどうなっているのかについて教えてもらった。


曰く、人間の呪術組織というものが禁忌の実験を実行し、その影響で世界中の大人がみんな死んでしまったのだという。


ならばもう大人の人間は一人もいないのかといえばそうでもなく、人体実験をして体の中に「鬼」を混ぜ、純粋な人間でなくなった者はまだ生き残っていると。





「ふぅん」



「ちゃんと聞いてるの〜?」



「聞いてるけど、嘘っぽいよ」



「ひどいなぁ。僕は嘘をつくやつが一番嫌いだって知ってるだろ?」



「ん〜、そうだっけ。忘れちゃった」






相変わらずふざけた口だ。どこからどこまでが本当なのか。そもそも全部嘘の可能性もある。




「こうやって親切に教えてくれるのも、胡散臭いんだよね。なんなの?」



「そりゃ、久しぶりに再会した友達には親切にするでしょ」



「あ、まだ友達なのね」





「もちろん」と、胸を叩くフェリドを無視して、この地下都市サングィネムをぐるりと見回す。

人が住むには向かない場所。太陽の光も届かず、家も汚くて、本当に豚小屋のような所だ。




「ねえ、フェリド」



「ん〜?」



「吸血鬼からしたら、人間はみんな家畜でしょ?」



「そうだねぇ」



「じゃあ、私はあなたから見てどういう扱いになるの?死なないだけで、人間なのに変わりはないから、やっぱり家畜?」






私がそう聞くと、フェリドは「そうだなあ」と少し考えた顔になる。




「家畜でもいいんだけどね。でもな〜。うーん、なにが一番面白いかなぁ〜?」



「面白いかどうかで決めるんだ?」



「うん。だって退屈だからね。これだけ生きれば、君も僕らの気持ちが分かるだろう?」





まあ、たしかに。
死ねないのは辛い。私には吸血鬼と違って感受性がまだ生きているとはいっても、それでも生きることに飽きてしまう時はある。

それを考えれば、なにに対しても興味のない吸血鬼の抱える絶望はどれほどのものだろう。





「フェリドも苦労してるんだね」



「まあね。これでも毎日を頑張って生きてるんだよ、僕は」



「クローリー様は退屈していないかな。心配だな。ねえ、どう?クローリー様は元気にしてる?」



「おや、話題がいきなりクローリー君になった。僕の苦労話は聞いてくれないの?」



「あんまり興味ないかな」

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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時

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