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めんかいきょひ ページ29

「はふ、お腹いっぱい」



今日も肉や果物がふんだんに使われた贅沢な食事を堪能して、お腹をさすりながら部屋に戻る。

…こんな食事ばかりしてたら、本当に太りそうだな。



食事を作ってくれている人に少し量を減らしてもらえるように頼んでみようかと考えていると、ちょうど執務室からフェリドが出てきたところに遭遇した。




「あ、フェリド。クローリー様は?」



「…残念なお知らせだけど…」




フェリドが私の姿を見つけた途端、ふっと顔に影を落とした。

なんだろう。またくだらない演技かな。




「クローリー君が、しばらく君とは会いたくないってさ」




「…えっ」





なんだって。

聞き間違いかとフェリドの顔を見るが、気の毒そうな顔でこちらを見返してくる。その顔やめてほしい。



しかし、いったいなぜ?さっきまで普通に喋っていたのに。




「あ、あの、理由は…?理由が、あるはず…」



「それも言いたくないんだって。とにかく、場合によってはここに滞在する間、一度も君と会わない可能性もあるって言ってたよ」





そんな、馬鹿な。

目の前が暗くなる。一瞬目眩もした。

まさか、あの優しいクローリーが私の事を拒否するなんて。理由すら言わないなんて。


…なにか、気がつかないうちに余程気に触ることをしてしまったのだろうか。




「わ、私がクローリー様に血をあげるなんて言ったから…?もうそれしか、心当たりが…」



「へぇ〜、そんな事言ったんだ。そういえば僕もお腹減ってきたな。久しぶりに君の血を…」



「あっ、あ、そういえばクローリー様、お腹減ってるって言ってた。フェリドに貰うって言ってたけど…」



「あれ、これ僕の声聞こえてないのかな。ん〜、クローリー君にはちゃんとあげたから大丈夫だよ。だから今は、君の血を…」



「私、クローリー様探してくる!」



「え?ちょっと〜」






フェリドのことは無視して、今来た道を引き返す。

せっかく京都まで来てくれたのに、理由も分からず会えないなんて堪えられない。


せめて、一言理由くらいは聞きたかった。







そうして私は屋敷中を走り回る。

今日は見つからなくても、明日なら。明後日には。



しかし、クローリーの目撃情報はあれど肝心の本人は見つからず。

本当に一度も会えないまま、六日が過ぎてしまった。

まよなか→←はらぺこ



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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時

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