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げーむ ページ37

ああ、ああ、なんて可愛い女の子なんだろう。


長く生きたと言って、死ぬのが怖くないと言って、それでもこんな顔ができるなんて。



吸血鬼には珍しい、欲が生まれる。支配欲。独占欲。
この子を、僕だけのものにして、永劫に、壊れるまで遊んであげたい。


そのためにはやはり、この首の傷が邪魔だった。


早く消えろ。クローリー君ばかり、ずるいじゃないか。




「ぁ…」




ゆっくりと生気のなくなる目を待つのが面倒で、もう一度彼女の首に食らいつく。

一気に吸って、それで終わりだ。




最後の一滴まで吸い尽くして、口を離す。

涙を流したまま彼女は死んで、そしてすぐに目に光が戻った。

その目が僕の顔を映して、また大粒の涙をこぼし始める。




「う…ひどい、約束したのに…」




そう、もっと泣いて。
邪魔な傷はもう消えた。もっともっと、僕好みに。




「クローリー様と約束したばっかりなのに…。フェリドのばか。ばーか。ばかやろー」



「そんなにバカバカ言わないでよ〜。責任はとるからさ」





泣きじゃくるAの頭をそっと撫でて、そのまま首に牙を突き立てる。

ぴくっと彼女の体が強張ったが、ほんの少し血を飲むだけで、すぐに離れた。




ああ、綺麗に跡がついた。さっきまでクローリーのつけた噛み跡があった場所に、僕のつけた傷がある。



クローリーにその気があったかは知らないが、これでマーキングの上書きは完了した。これが消えるまでは、彼女は僕のものだ。




「なに、今の…?」



「ふふふ。気にしないでいいよ。今回は殺しちゃったけど、次からは気をつけるからさ。許してね」





ぱちぱちと目を瞬く彼女は、マーキングの意味に気がついていない。そんなところも愚かで可愛らしい。

ずっと欲しくて、やっと手に入れたおもちゃを撫でるように彼女の頭に触れれば、不満げな顔で頷いてくれる。



僕の跡をつけたと言っても、彼女の心はまだ僕のものではない。
でも、それでいい。手に入れてしまったら、きっとすぐに飽きてしまうから。




これは、彼女を僕のものにするまでの過程を楽しむゲームだ。この印は、そのスタート地点。




「君は、どんなふうにすれば僕に靡いてくれるのかなぁ?」



「私はクローリー様以外には靡かないよ」





そう、それでいい。

簡単に手に入ってしまったら、つまらないから。



だから、僕を飽きさせないように、せいぜい可愛く踊ってね。

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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時

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