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「泳いで行くつもりだったとか・・・馬鹿じゃねえの！？」
俺の隣には、呆れたように怒るユウキ
塩湖までの道のりは、まともに行けば一日半かかる
急ぐ道のりなんだろ、と半ば怒られながら
反乱軍が使ったという近道を案内してもらっていた
『・・・土下座くらいで、そう簡単に教えると思うのか』
『いや、思わねえ。でも、俺はお前に謝らなきゃなんねえことがある』
『は？』
あの時の、地下牢での会話
俺の告白に最初は顔を真っ赤にして怒っていたけど、こうして全てを受け止めてくれた
やっぱり、俺の仲間はみんないい奴だ
「いいな、塩湖を渡れば確かにあっという間に着く。だけど無事に塩湖を渡れるかどうか、そこが一番の難関だからな」
「分かってるって、そう何度も言うなよ」
いい加減、同じこと繰り返し怒鳴るのは止めて欲しいんだけどな
陸路だとどんなに急いでも六日はかかる行程が、船で渡れば二日もあれば余裕で着くというんだから驚きだ
やがて寂れた街が見え、ユウキがここだと言った
「この舟を使えばいい。反乱軍が使っているものより速さは出ないが、強度は十分にある」
「おう、助かったよ」
じゃ、行くわ
そう言って乗り込もうとしたところで呼び止められた
「何で俺のこと許したんだ？」
何だ、そんなことか
「決まってんだろ。俺は遠征部隊の隊長でお前は隊員の一人だ。隊員のことを信じない隊長なんていねえよ」
今度こそ舟に乗り込む
背後では堪えきれない嗚咽が聞こえていたけど、俺は振り向くことなく出発した
それに、それは俺の言葉だ
「俺のこと、許してくれてありがとうな。ユウキ」
まだどうしようもない子供で、考えが甘かった頃の幼い自分の姿を思い出していた
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しゅり(プロフ) - 乃絵さん» コメント有難うございます。乃絵さんの心に触れる作品を書けたこと、嬉しく思います。悲しい終わり方だけれども、どこか救われるものがあればいいなと思い書いた作品なので、素敵な感想頂けて安心しました。楽しんでいただけて何よりです！ (2016年5月13日 10時) (
レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵(プロフ) - 完結おめでとうございます。世界観に引き込まれて読んでいました。中心の3人がそれぞれの優しさで世界を動かし、胸が詰まる思いでした。先の世でカズナリとサトシ、出会えるといいなと思います。読ませていただいてありがとうございました。 (2016年5月1日 14時) (レス) id: 40036218a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年4月15日 19時
