番外編・ニノの手紙 ページ47
サトシへ
この手紙を貴方が読んでいるということは、ワタシはちゃんと死んでいるということですね
面と向かってお別れが言えたらいいんだけど、それは難しそうだから
こうして手紙を書いてみました
十歳のときにサトシと出会って、それから毎日一緒に暮らしてきました
普段は恥ずかしくて使わないようにしてるけど、昔みたいに“ぼく”って、言わせてください
ぼくが初めてサトシの存在を知ったのは、実はあの日じゃないんです
それはぼくがカミナと分かり、王宮に入って四日が過ぎた頃
まだぼくたちが六歳にも満たない幼子だった時のことです
王様は、サトシのお父様は、緊張して喋れないぼくを見かねて街へ連れ出してくれました
色んなお店を見て回って、気に入ったものを買ってくれて
そしてある一軒の家の前でこう言いました
『ここに、私の大切な宝物がいるんだ』と
そう、貴方のことです
こっそり窓から見たその子は、ぼんやりと外の花壇を眺めていました
寂しそうな瞳で、ずっとそうしていました
その子供のことがずっと頭に残ったままぼくは大きくなり
そしてあの日、サトシと再会したんです
一目見てあの時の子だと気付いたぼくは、友達になって欲しいと言いました
優しい貴方は少し驚いた後、何でも無いようにいいよと言ってくれましたね
あの時のサトシの言葉、本当に嬉しかった
ぼくはサトシが王様の宝物だという言葉の意味をよく分かっていませんでした
だから暗殺者に襲われた時、サトシの名前に王様が反応したのを見ても
どうして？と思う気持ちが一番にありました
ぼくの両親は自分の子供がマコトナと気づいた瞬間、ぼくを売りました
貧乏だった家族は優雅な生活を望み、金になる子供を売って国を出て行ったんです
だからぼくは親の愛というものを知りませんでした
でも今は、そんな親にも感謝しています
何故ならそれが無ければ、ぼくたちはきっと出会うことがなかったからです
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しゅり(プロフ) - 乃絵さん» コメント有難うございます。乃絵さんの心に触れる作品を書けたこと、嬉しく思います。悲しい終わり方だけれども、どこか救われるものがあればいいなと思い書いた作品なので、素敵な感想頂けて安心しました。楽しんでいただけて何よりです！ (2016年5月13日 10時) (
レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵(プロフ) - 完結おめでとうございます。世界観に引き込まれて読んでいました。中心の3人がそれぞれの優しさで世界を動かし、胸が詰まる思いでした。先の世でカズナリとサトシ、出会えるといいなと思います。読ませていただいてありがとうございました。 (2016年5月1日 14時) (レス) id: 40036218a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年4月15日 19時
