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「カズナリっ！！」
その叫びがサトシくんのものだという事に
そしてそれが、ニノに向けられたものだという事に
僕の頭は全くついていけなかった
僕に降り注いだ、体温の高さの真っ赤な雨
それは目の前のニノから溢れたように見えた
「カズ・・・？」
強かに打ちつけた背中が痛むけど、そんなことは一切気にならない
また耳の奥がおかしくなったみたいに、上手く周りの音を拾えない
自分の心臓の音が自分の声が、やけに自分の中で響く
すぐに身を起こそうとして、その前に重い何かが僕の身体に倒れこんできた
「・・・」
耳元で、細く長く、息を吐き出す音がする
急に視界に広がった、陽に当たっていないような肌の色
目の前に広がる柔らかい髪と、そこから覗く薄茶色の瞳
「ね、カズ・・・どうした、の」
一向に動く気配のないニノが不思議で、そっと身体を揺さぶろうとして
触れた肩が生温く滑ることにやっと意識がいく
不思議に思って眺めた僕の左手には、べっとりと血がこびりついていて
さっきまであんなに暖かかったニノの腕の中なのに、急激に冷たくなっていく
「ね、カズ・・・返事してよ・・・ねえ、ねえっ！」
幾ら呼びかけても、どんなに身体を揺らしても少しも言葉は返ってこない
あんなに泣かないでと言ってくれたニノなのに、僕の涙を拭うあの優しい指先は少しも動かない
・・・瞳の輝きが、命の灯火が、失われていく
「うわあああぁああぁぁあああ！！！！」
サトシくんの絶叫を最後に、僕の意識は沈んでいった
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しゅり(プロフ) - 乃絵さん» コメント有難うございます。乃絵さんの心に触れる作品を書けたこと、嬉しく思います。悲しい終わり方だけれども、どこか救われるものがあればいいなと思い書いた作品なので、素敵な感想頂けて安心しました。楽しんでいただけて何よりです！ (2016年5月13日 10時) (
レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵(プロフ) - 完結おめでとうございます。世界観に引き込まれて読んでいました。中心の3人がそれぞれの優しさで世界を動かし、胸が詰まる思いでした。先の世でカズナリとサトシ、出会えるといいなと思います。読ませていただいてありがとうございました。 (2016年5月1日 14時) (レス) id: 40036218a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年4月15日 19時
